笛吹きは本気なのか?HBOの番組はもっとも交絡した暗号通貨をどのように刺激したか

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「おい… こいつはクレイグ・ライトだぞ」

実際には当人ではなかったのだが、この会話で一番奇妙だったのはここではない。

HBOが放送するテレビドラマ「シリコンバレー」をパロディしたツイッターアカウントの「Pied Piper Coin」(笛吹きコイン)とは一体誰で、何を目的にしているのかを突きとめようというCoinDeskの試みはこうして始まった。

インターネットを作り変える冒険の中で、逆境に陥る大胆なスタートアップ企業を面白おかしく紹介するこのテレビ番組では、5月にICOを実際にやってみせた。

そのため、放送日の数日後に架空のトークン「笛吹きコイン」のツイッターアカウントが登場しても、誰一人として驚かなかった。だがこのアカウントの正体は不明だった。

このアカウントは企業ツイッターアカウントだろうと多くの人は思った。このような企業アカウントはムーン・パイ(アメリカのお菓子)が不条理主義者の喜劇産業である時代に急速に流行した。

落ち目のお菓子が社会的な時代精神を捉えられるならば、HBO社もできるのではないか?しかしもしそうだとしたら、企業は笛吹きコインを長い鎖で操っていたはずだ。

このアカウントは最初のツイートでエアドロップ、つまり無料の暗号通貨を自由に配布することを約束し、またフォロワーに対しては笛吹きコインをサポートできるように取引所にタグを付けると話した(パターン化していることだが、Bittrexへの当てつけに聞こえる)。

笛吹きコインは私たちとの私的な会話の中で、アカウントの正体はクレイグ・ライト氏だということ、XRPは有価証券だということ、そしてエアドロップの話は本当だということを明かした。

しかし時間が経つにつれて、暗号通貨への憎悪を煽る笛吹きコインの支持者は、HBOの支援はあり得ないと思った。

パラパ(東屋のようなわらぶき小屋)、テスラ、ラヴェイ派サタニズムについてシリコンバレーをテーマにしたジョークを撒き散らすこのアカウントは、暗号通貨のお気に入りの叩かれ役を非難した。

その叩かれ役とは、(XRPを発行していないと主張する)Rippleや(自分はSatoshi Nakamotoだと主張したがその証明に完全に失敗した)クレイグ・ライト氏だけでなく、以下の面々も含まれていた。

  • レット・クレイトン氏(zcashをフォークし、ビットコインからのフォークとマージし、ビットコインのマージフォークを提案した)
  • ジョン・マカフィー氏(ソーシャルメディアの型破りな伝道家)
  • CoinMarketCap社(ポンジ・スキームの手口を使っているとして非難を浴びたBitconnectをリストに上げていた)
  • Tron(ホワイトペーパーは盗作だと言われている)
  • IOTA(Microsoft社との「提携」の発表は早すぎた)
  • ロジャー・バー氏(bitcoin cashへの忠誠を誓い、bitcoin cashこそが「ビットコイン」だと主張したビットコインの熱狂的支持者)
  • 他にもまだいる

確かにこのアカウントが雄弁に語る暗号通貨の隠語やミーム、不満は強い印象を与えた。しかしその正体は一体誰で、その目的は何だったのか?

結局「@piedpipercoin」を名乗る人物は自己紹介の中で、HBO社とは何の関係もないと述べた(CoinDeskはこのことを確かめるべくHBO社に接触したが、記事出版までに回答は得られなかった)。しかしその後、事態は落ち着くどころかさらに奇妙さを増していった。

最初のうちは何が起きているのか非常にはっきりとしているように思われた。信念を持ったいたずら好きが、へぼ役者を招集して健全な懐疑心を暗号通貨関連ツィッターに植えつけるためのメガホンとして、「シリコンバレー」のミームを使っていたのだ。

笛吹きアカウントの正体を名乗る人物はCoinDeskに次のように語った。

私たちはユーモアを利用して、暗号通貨界隈に、かつて起こったいかがわしいことを連想させて、暗号通貨コミュニティがこのような過ちを避ける手助けをしようとしているのです。

人々は未来へ進む前にこのような歴史を学ぶ必要があります。私たちはユーモアを通じてこのことを教えているのです。

他の人たちは彼らに従う気にさせられ、それに伴ってクリプト・ミーム経済圏は笛吹きコインを超えて広まった。

PPCashは「新たなインターネットの見通しは最初から真実への道だった」(bitcoin cash始原主義のパロディ)と主張した。その一方でHooliCoinは「間もなく世界は中央集権的な暗号通貨が未来への道だと理解するだろう」(企業ブロックチェーンのパロディ)と断言した。

このようにいろいろなジョークが登場する中で、笛吹きコインはエアドロップの実施を真剣に考えているようだった。そしてエアドロップを実施することで事態が複雑になるかもしれなかった。

詐欺か?

本物の暗号通貨を実験的な暗号通貨に統合することは、暗号通貨ファンに嫌な印象を残した。

暗号通貨政策のシンクタンクCoin Center社の通信部門トップで、彼自身がクリプト・ミームの強力な原動力でもあるNeeraj Agrawal氏は笛吹きコインが登場してから数日後に同コインを非難した。

Agrawal氏は次のように書いている。

人気のテレビ番組であなたのことを話した内容を、キュートなパロディアカウントから、一週間以内に嘘のエアドロップに変えるのは暗号通貨に任せよう。

笛吹きコインプロジェクトが実際イーサリアムベースのトークンを作成しているということが明らかになると、笛吹きコインの作者は楽をして儲ける手段を探しているのかもしれないという説が支配的になった。

笛吹きコインの作者が不明なままで、ガイ・フォークスのマスクをつけピーターパンの帽子をかぶった姿でYouTubeに登場した短いメディアキャンペーンが流れる状況では、その説に反論することはほとんどできなかった。

5月も半ばに差し掛かると、笛吹きコイン(「PPC」がトークンだ)の価格は数セントから1ドル以上に急騰した。その後、価格はほとんどゼロにまで下がった。

ここには古典的な暗号通貨詐欺の要素の多くがあるように思える。合法的で主流の主体に(短い間だが)暗黙のうちに支援されたマーケティング。責任を負わないチーム。製品がないトークン。ソーシャルメディアの攻撃的な宣伝。急騰した後にだらだらと値下がりを続け結局は世間から忘れ去られる。

さらに5月28日には、「笛吹きコインで被った損失を埋め合わせるため」、パイパー氏(笛吹きコインの作者をこう呼ぶことにしよう)は店頭取引で4,500 PPIを売却した。

しかしこのかなりの額の詐欺物語にはいくつか問題がある。笛吹きコインの作者がツイッターやCoinDeskとのインタビューで指摘しているように、このコインは投資家の資金は決して受け入れてこなかった。公開する手段はICOではなく無料のエアドロップだった。さらに私たちが店頭取引のことを知っているのはパイパー氏が公表したからだ。

笛吹きコインが詐欺として記憶されるかどうかは、このコインがマスクをつけた創設者の増大する野心の約束に従うかどうかにかかっている。

本気で本気

笛吹きコインの作者、パイパー氏は本気であることが明らかになった。あるいは少なくとも彼は本気で自分は本気だと納得させようとしていた。

笛吹きコインは暗号通貨最大のコミュニティを持つことになるでしょう。多くの開発者がパイパーチェインの上で開発するようになると信じています。

とパイパー氏は述べている。

5月下旬にSteemitに投稿された1ページの記事はパロディとロードマップで埋め尽くされ、メジャーなブロックチェーンプロトコルをフォークしてパイパーチェインを作り、その上に分散型アプリ(dapp)を作ることを提案していたが、#HailSatan #WenPalapa #WenTesla といった多数のハッシュタグが記事の末尾に添えられていた。

しかし、数週間後に届いたメールには、パイパー氏はずばり第三四半期に断固としてパイパーチェインを作る、とあった。

だが、計画とパロディの境目は相変わらず曖昧なままだ。メールの中でパイパー氏は次のように述べている。「マスターノード、アトミックスワップ、シャーディング、プラズマ、ライトニングなど、表面的な言葉をすべて完全なものにしたい」

しかし、6月半ばの電話の中で、パイパー氏はパイパーチェインの具体案を明らかにした。EOSをフォークして規約を減らし、ブロック作成者(ブロックチェーンを管理するネットワーク参加者)の数を21から50に増やし、参加者が権利を主張するのに必要なトークンの数を減らす、というものだ(もはや第三四半期を目標とはしない、とも補足した)。

「十分に盛り付けた」焼き鳥サンドウィッチには何が付いてくるのかと給仕人へ質問したり、暗号通貨と大麻の支持者であるKen Bossack氏と補足的な会話をしたりする傍ら、パイパー氏は4人の開発者で構成される「stallions(種馬)」という名のチームが開発するパイパーチェイン上で動作する2つの分散型アプリについて説明した。

パイパー氏が述べたところでは、ユーザに2つのミームのうち好きな方に投票させて票数の多い方がトークンを獲得するようになるかもしれない。あるいはジオキャッシングを利用してユーザーが現実世界で冒険を完結できるようになるかもしれない。

(記事執筆時点でプロジェクトのサイトに掲載されているロードマップは、パロディがまだしっかりと支配していた)

Dogeconでパイパー氏は、彼とBossack氏は「驚くような見た目」にする途中だ、と述べた。

ドージコインの後継者

おそらく見た目は驚くものではなかったはずだ。6月上旬に笛吹きコインの創設者はCoinDeskに対し次のように述べている。「私たちはドージコインをミームコイン空間の標準的な担い手と考えています」

公平のために言っておくと、ミームコインは年を追って家内工業的なものに変化してきている。2014年に初めて価格が上昇したドージコインの価格は徐々に下がってきてはいるが、実際には決して消えてはいない(2017年の時価総額はざっくり見積もっても10億ドルあった)。

6月下旬にバンクーバーで4日間開催されたDogecon(ドージコン)は、ドージコインの支持者を呼び集めた「大会」だ。

このイベントはドージコインプロジェクトをこれほどまでに魅力的にしているもの、つまりジョークを手放そうとしない熱心なファンの大規模なグループを示すショーケースだった。

この状況でも笛吹きコインは意味を持っていた。2013年にJackson Palmer氏とBilly Markus氏が設立したドージコインが最初のミームコインだ。このミームコインは緊張した表情の柴犬が「超~」とか「なんて~」といった言葉を使うポピュラーなイメージから生じたものだ。

ドージコインのコミュニティは、真面目になることを断固拒否することで、分散化された暗号通貨のアイディアに本気で没頭してきた。多くの暗号通貨プロジェクトは世界を分散化させて投資家を信じられないほど金持ちにすると約束しながらほとんどが劇的な失敗に終わったが、ドージコインはそのような暗号通貨とは異なり、熱狂的な自己パロディを5年近く続けながら生き延びてきた。

公開討論会でパイパー氏とPalmer氏がミームの哲学を議論しているのを見ていると、パイパー氏が「本気」かどうかという問いは、彼がなぜ今の服装でいるのか、あるいはなぜいい大人が犬をテーマにしたインターネットマネーの話をしているのか、という問いと同じようにばかげているように思えた。

Palmer氏が手掛けるプロジェクトの一つに「are we decentralized yet?(私たちはまだ分散化していないのか?)」というサイトがある。このサイトは主要な暗号通貨について様々な分散化の指標を追跡している。笛吹きコインの創設者も同じような優先度を持っているようで、暗号通貨を乗っ取るゆがんだ動機だとしてすぐに非難した。

Palmer氏はCoinDeskに次のように述べている。

この有り余るミームコインのスペースは、まさに私たちが打倒したいと願っていたことに力を与えるものです。

このスペースはウォール街や銀行が関わるようになると興奮します。このスペースは、人々が暗号通貨が作られた本当の理由よりも個人の欲望に興味を持っていることを示すものです。

ドージコインと笛吹きコインはどちらも同じ壊れやすいシンギュラリティを持っているように見える。このシンギュラリティでは誠実でバカ正直でもある理想主義と冷笑的なパロディが一体化している。

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