規制当局は「ユーティリートークンには実体がある」ことを徐々に理解し始めた

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ブロックチェーンと暗号通貨を区別できるという、この2年間に広まってきた誤った説に終止符を打ちたいと思う。両者を区別することはできない。

こう言っているのはビットコインの過激主義者でも、ガチホでも、クリプト・アナーキストでもない。規制当局が言っているのだ。

シンガポール金融管理局(MAS)で最高フィンテック責任者を務めるSopnendu Mohanty氏は、ネイティブ・トークンが分散型ブロックチェーンに統合されるということをこのような言い回しで注意喚起したが、話した相手は暗号通貨を支持する側に回った人たちではなかった。

Mohanty氏が話していたのは、サウジアラビアのリヤドで開かれた技術と金融包摂に関するG20フォーラムに出席していた、好奇心旺盛だが用心深い中央銀行担当者と各国の開発当局者に対してだった。

扱いやすい分散型データベースがより良い解決策を実現するかもしれないことに気づいていない企業や政府の指導者に向けられた、単純化された「ビットコインなしのブロックチェーン」という繰り返し耳にする文句に、公的部門の担当者が反論する話を聞くのは新鮮なものだ。

その理由は、ネイティブのデジタルトークンが、オープンで許可を必要とせず検閲抵抗性のある取引記録システムを構築するインセンティブとセキュリティのモデルの不可欠な部分だと理解することが重要だからというだけではない。

Mohanty氏が意図していたのは良識ある暗号通貨規制の形成を助けることにあったということもその理由だ。

同氏は規制当局に対し、特定の暗号トークンが数十年にわたる証券法の枠組みに陥ることのない、経済的な協調を改善するための新しいタイプの技術に属することを認識した微妙に異なる政策を採用するよう促していたのだ。

また、このように考えているのはMohanty氏だけではないという証拠があるのも心強いことだ。

世界中の規制当局は、トークンがブロックチェーンネットワーク内部で明らかに機能的な役割を果たしている場合は、煩雑な証券規制よりも既存の消費者保護法やマネーロンダリング防止法で規制する方が良いと公言するようになってきている。

確かに、そのような考えを述べる彼らからは幾分神経質な様子が伺える。西部開拓時代にあるトークン市場で詐欺的なICOに投資家が騙されていることは、当然ながら多くの人が関心を持っているからだ。

それでもなお、トークンの概念の意味を明確にしようとする規制当局の徐々にではあるが真剣な試みは、ブロックチェーン技術をより意味のある形で世界経済に統合するチャンスを与えるものだ。

進歩的な考え方をする国々

この点でシンガポールの中央銀行がリードしている。MASのManaging Director、Ravi Menon氏は3月に行ったスピーチの中で、「良い」トークンと「劣悪な」トークンを見分ける明確な根拠について説明した。

スイス金融市場監督局(FINMA)も積極的に取り組んでいる。FINMAではトークンを支払いトークン(ビットコインやlitecoinを含む)、ユーティリティトークン(イーサ、および少なくとも理論上は様々な種類のERC-20トークンを含む)および資産トークンの3つのカテゴリに分割する便利な分類法を考え出した。

この中で最後の資産トークンだけが証券法の規制対象となる。マルタと英領ジブラルタルでは、ICOとトークン取引に対して規制上はオープンな態度を示している。

一方でバミューダなどのカリブ諸国では、海外金融機関にとって信頼できる本拠地としての地位を維持しつつ、ブロックチェーンの革新を促進するトークン規制の枠組みを開発中だ。

自治体レベルでも動きがある。ワイオミング州議会はユーティリティー・トークンを新しい資産クラスと定義して証券規制の対象外とする州法を可決した。

米国証券取引委員会(SEC)は先月まで正反対のアプローチを取っていたようだ。SECのJay Clayton委員長は2月に上院議会で、「私が目にしたあらゆるICOの各々は有価証券だと考えている」と述べた。この表明の意味合いは明らかだ。

ICOで既に販売されている何百ものトークンは、すべてではないにしてもその大部分は、SECに登録して関連する開示およびコンプライアンス要件を順守する必要がある。

すべてのトークンに対して操作網を張るようなSECのアプローチの恐怖を煽るこの表明は、米国市場に立ち入らないようICO発行者に促すこととなった。

この表明はまた、投資家に証券を売るためのより効率的な手段以外には何も発明していない「セキュリティー・トークン」の提供者を後押しすることとなった。

しかしこの表明以降、SECは態度を軟化させた。Clayton氏が後にCNBCに語ったところによると、ビットコインは有価証券には分類されない、とのことだ。その後SECのコーポレート・ファイナンス部門担当ディレクター、William Hinman氏は先月行われた画期的なスピーチの中で、イーサリアムコミュニティを悩ませていた質問に答えた。

Hinman氏は、2014年のイーサリアムのICO以前はイーサは株式だったが、現在のイーサがイーサリアムネットワーク内で果たす役割を見ると有価証券には該当しない、と述べた。

ユーティリティー・トークンの概念を明確にしようとする他の司法管轄の動きと比べると、この声明はそれほど踏み込んだものではなかった。Hinman氏は単にイーサとは何でないかを定義していたに過ぎない。

しかし、こう述べたことで彼はイーサの固有の性質を認識していたことになる。その性質とは、イーサはスマートコントラクトがイーサリアムプラットフォーム上で実行される分散コンピューティングの決済で使われる一種の「暗号燃料」だということだ。

重要なことは、規制当局が入念に下調べをしており、彼らが見慣れているものとは異なることが少なくとも潜在的には起きている可能性があると認識し始めた、ということだ。学ぶべきことはまだたくさんあるが、さまざまな規制の世界でアイディアは静かに消えようとしている。

あなたがこの技術に対する公衆の信頼を育むための明確な規制を歓迎する側にいようと、あるいはもともと国家を迂回するように設計された通貨制度に政府が関与することに嫌悪感を覚える暗号コミュニティの側にいようと、規制当局が気付きつつあることは変化の瞬間を表している。

レースは始まった

規制を強化する多くの国は、自由に行動するICO市場がもたらす潜在的な経済的利益に目を向けるのは明らかだ。

ICO市場ではこれまでに200億ドルを調達しており、時価総額2750億ドル(ざっくりとした見積もりではあるが)の重要な資本市場を構成するようになった。思いがけない税収はあるが、本当の報償は自国に革新を誘致することだ。

だが彼らは異常に足の速い資本であるため注意が必要だ。彼らは世界規模の「規制当局による鞘取り」を助長する危険がある。ある技術がICOと同じく場所にとらわれないものである場合、ICO発行者は規制がもっとも緩い場所を拠点とし、司法管轄区域間の競争が激化することとなる。

ICOビジネスでは途方もない数の詐欺師がいることを考えると、この業界がどれだけ広く認識されているかという点で、最悪のプレーヤーがあまりにも多くの自由とその延長線上であまりに多くの影響力を持つ危険性がある。

米国規制当局は過去にこのような問題を乗り越えてきた。米国内で集めた膨大な資金により、世界中で活躍する人はアクセス権を確保するために規制当局が定めたルールを遵守することを余儀なくされた。

しかし、グローバル化の時代に外国資本市場が深く関わる中で、世界中に分散しているブロックチェーン開発チームは、米国に拠点を置く価値がないかもしれないと判断しつつある。アジアの投資家から必要な金額を楽に調達できると判断したICO発行者を我々は既に見ている。

このことが示唆していることの先には規制の取り組みをより良く調和させるための国家間の協調的取り組みがあることを私は期待している。

Mohanty氏は、世界の重要な規制当局のうち6つほどがユーティリティトークンについて、および支払いと証券媒体とを区別するものについて幅広く合意するだろう、と語った。たとえば、プラットフォームの機能性のレベルについて、そしていつトークンが免除されたユーティリティステータスを取得する必要があるかについての質問を明確にする必要がある。

また規制当局は、証券法の免除以外にも、トークンのプリセールスに資金を投入した人々に対してICO発行者が依然として説明責任を負うことを保証するために既存の消費者保護法を適用する戦略に同意すべきである。

ワイオミング州のようにユーティリティー・トークンの立法的定義を明確にしようとすることは、イノベーターをその定義に過度に制約し、司法権を越えて矛盾を作り出すと強く主張する人もいる。既存の法律に頼る方が法律の枠組みに入れるよりも効果的だ、と彼らは言う。

しかし、そのような懸念があるせいで、既存の法をさまざまなシナリオにどのように適用するかについての明確な合図を規制当局からブロックチェーン開発コミュニティの参加者に送る妨げとなるようなことがあってはならない。

ブロックチェーン技術を改善して拡張し、将来の暗号トークン購入者の間で幅広い信頼を育むためには、まだまだ多くの作業が必要だ。ICO発行者、取引所、投資家の成功事例を開発する必要がある。

しかし、ユーティリティートークンモデルの拡張を奨励することは立派な目標だ。しかしユーティリティートークンモデルを作成するすべての人にとって証券法が重荷になると、この目標の達成はずっと難しくなる。

このことを理解するためには、Mohanty氏が述べたリヤドの会議での金融包摂の目標以上のものは必要ない。

このイベントでは、G20の議長国を務めるアルゼンチンのリーダーシップの下、金融包摂のためのグローバル・パートナーシップ(Global Partnership for Financial Inclusion)によって組織され、低所得の発展途上国での起業を奨励する方法が検討された。

そのような国々に進出している人々を含めて世界中が、分散型のピアツーピアアプリケーションやビジネスモデルの強力な経済的利点にアクセスするためには、規制上の参入障壁を緩和する必要がある。

言い換えると、これは人間性の根源となるものだ。

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