2020年までに100種類のトークンを:仮想通貨保管をレジャーが拡大予定
上客の確保に向けて、仮想通貨保管業務を巡るレースは日ごとに激しさを増している。
フランスを拠点とするハードウェアウォレットと保管業務の新興企業レジャーが、特に機関投資家に向けて、複数の通貨ソリューションの要望を支援するために仮想通貨の取扱数を増やしつつある。
コインデスクの独占取材によると、同社は8月から毎月第一火曜日に新しい仮想通貨のサポートを追加し、2019年末までには100種以上を取り扱う予定だという。
現在のところ、レジャーの製品とサービスは25種類程度の通貨しか扱っていないが、今週はトロン(TRX)とゼットコイン(XZC)を追加している。
この動きは仮想通貨産業が急拡大している証でもある。投資の機会を探し、企業のビジネス戦略に影響を与える大口の投資家に対して、かつてないほど幅広い資産の運用法を与えようとしているのだ。
2014年に設立されたレジャーは、主に個人のビットコインユーザー向けのハードウェアウォレットと対応アプリの制作で知られているが、エリック・ラルシェベックCEOは、ヘッジファンドや大口投資家に保管サービスを提供するという新たなビジネス戦略を、この「トークン・チューズデー」構想に隠れた牽引力と考えている。
「これらの(機関投資家という)顧客と契約したければ、他に選択肢はありません」ラルシェベックはコインデスクに語った。
最低でも、上位100種の仮想通貨を扱わなければならないのです。
同様の理由で、BitGoも最近機関投資家に向けて57種のイーサリアムベースの通貨の保管サービスを追加している。
一方、多額の資産が認定された数千人の投資家が、暗号鍵管理の新興企業Casaの順番待ちリストに名を連ねており、同社は8月に自己管理型のビットコイン・ソリューションを発表予定で、その後他のトークンも追加するという。
しかしその傍らで、広い範囲のトークンの保管サービスを提供することは、名ばかりの有名業者を駆逐するだろうとラルシェベックは考えており、こう述べた:
これによって大量のヘッジファンドが資産を仮想通貨に移せるようになります。そうすれば、他の機関投資家も数十億ドルを仮想通貨に変えられるようになるでしょう。
さらにレジャー代表のPascal Gauthierは、従来の投資家をより広い仮想通貨のエコシステムに招き入れれば、最終的には他の仮想通貨を購入したとしても、現実世界におけるビットコインの価値を高めることになるだろうと述べている。結局、この世界最大の仮想通貨は、トークンを清算することに関しては今なお最も流動性の高い手段となっているからだ。
さらに広い意味では、「この業界に機関投資家が入ってくるということは、業界にさらなる信頼と価値をもたらすことです」と、Gauthierは言った。
流れは速まりつつある…
機関投資家を誘いながらも、レジャーの狙いは一般投資家のハードウェアウォレットの使いやすさを高めることにある。
「仮想通貨を統合するという大きな原因は、結局のところ、顧客企業の要望から来ています」ラルシェベックは語る。
同時に、それは我々のハードウェアウォレットのユーザーにとっても利益となります。好循環ですね。
例えば、同社は今週ハードウェアウォレット対応アプリのアップグレード版を発表した。
一つのウォレットにトークンごとのアプリが入っていた従来のものと異なり、新アプリのLedger Liveはすべてのトークンのアップデートを自動的に行なうことができるため、新たにトークンを追加しても迅速なサポートが可能となるのだ。
レジャーのビジネスを完遂させるため、今や1年足らずで数十の仮想通貨を追加することはたやすいものとなっている。それと同時に、個人ユーザーも複数のアプリを使うことなく一つのアプリで異なるトークンを利用できるようになっている。
「可能な限り多くの仮想通貨を扱いたいと思っています」ラルシェベックは言った。
Liveアプリはこの方針に向けての最初のステップです。これは我々が望む限りの仮想通貨を追加できるような、新たな土台、新たなプラットフォームとなるでしょう。
これまで100万個以上を売り上げたハードウェアウォレットよりも、レジャーのアプリの需要は急激に拡大している。ラルシェベックによれば、アプリはウォレットがなくても使用でき、2017年11月には月間ユーザー数100,000人だったものが、現在は月間500,000人となっている。
Ledger Live用のオープンソースツールによって、外部のコミュニティがお気に入りの仮想通貨のサポート機能を作成できるようにもなる。「そうすれば我々はそれを確認してから、サポート機能を公表できます」ラルシェベックは言う。
これらの開発者達のコミュニティが作業することで、仮想通貨を追加する速度を遥かに増やすことができます。
実際、トロンの技術部長Tian Hanによると、トロン自体も資金の援助は行なっているものの、レジャーによるトロンのサポートがうまく進んだのは、ユーザーが編み出したコードのおかげでもあるという。
「ユーザーが集まってチームを作り、事業を進めてくれました。トロンの従業員は資金援助以外では関与していません」彼はコインデスクに言った。
我々はさらにレジャー・ウォレット統合チームに800,000万ドルを提供し、トレザー統合に向けても同様の支援を考えています。
自己保管による取引
ウォール街の住人にトークンの保管ソリューションを提供するという流れが速まっているからといって、その全員が、仮想通貨コミュニティの「自分自身の銀行になるべし」という精神に賛成しているわけではない。
しかしレジャーは機関投資家に向けて、現実に二つのビジネス戦略を展開している。一つは日本の野村ホールディングスのような組織と提携するというもので、レジャーのツールを利用して、従来の預金のような完全な保管サービスを行なうというものだ。
もう一つはVault(貴重品保管室)と呼ばれ、一つのヘッジファンドにおける複数のトレーダーといった、投資機関のチームに向けた企業レベルの保管ソリューションで、仮想通貨を自己管理する、つまり仮想通貨コミュニティの精神によりふさわしい内容となっている。
このマルチシグウォレット(取引に複数の秘密鍵が必要なウォレット)は、チームの各メンバーが担当している複数の個人のハードウェアデバイスと接続されることになる。
「ナノS(レジャーのハードウェアウォレット)であなたが自分自身の銀行になっているように、彼らも彼ら自身の銀行になるのです」Gauthierは言った。「取引を認証している異なる管理者がみな、一つのデバイスを持つことになるでしょう」
しかし現時点では、この自己管理型のアプローチが流行しているとは言い難い。典型的な機関投資家なら自分の秘密鍵など管理したくはないし、そうしている投資家でさえ、自分を完璧に信頼しているわけではないのだ。
最高のソリューションは、私が鍵を持ち、パートナーも鍵を持ち、私とは赤の他人も鍵を持つことなのです。
この手法でBitGoを利用しているヘッジファンドのIkigai Asset Management共同設立者、トラヴィス・クリングは言った。
Casaでインフラ技術を担当しているジェムソン・ロップの意見では、機関投資家はこれらの新しい仮想通貨を保管する際に「旧世界の」考えを当てはめようとしているという。
完全な保管サービスとロップの自己信頼という精神にはずれがあるものの、Casa、レジャー、そしてBioGoの間でサービスを巡って健全な競争が必要であることは彼も認めている。ロップはコインデスクに語った:
人々が信頼できる第三者を選べるというのは、とても良いことです。しかし我々がこのシステムに参入した根本的な理由は、人々が望まないことはしなくてもいいというものです。
100 Tokens By 2020: Ledger Pledges Big Expansion for Crypto Custody – CoinDesk