仮想通貨と世界経済に必要不可欠なもの:プライバシー

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仮想通貨と世界経済に必要不可欠なもの-プライバシー

マイケル・J・ケイシーはコインデスクの諮問員会委員長で、MIT(マサチューセッツ工科大学)のデジタル通貨イニシアチブでブロックチェーン研究部門の上級顧問を務めている。

下記の内容は毎週日曜日、購読者限定で精選記事を伝えるコインデスク・ウイークリーに以前掲載されたものである。

小麦の製粉業者が彼らの元に配達された小麦一粒一粒の正確な品質と生産農家を知りたいと言ったらどうなるだろうか。

全世界の穀物卸売市場が機能不全に陥るだろう。バイヤーは原産地にお構いなく倉庫と配送業者から生産物を受け入れ、市場はそれに依存しているからだ。

このシステムの要は古くから伝わる代替性という原則である。すなわち、ひとまとまりの特定の生産物は、もうひとまとまりの同種の生産物と完全に交換可能であるという考えだ。

この原則は、生産物の履歴が隠されているだけではなく、実際に失われてしまっている市場の関係者の間で、不文律として受け入れられている。このような性質を備えた生産物は、商品という定義にほぼ当てはまる。

代替性は通貨にとってさらに重要である。我々の通貨システムではあらゆるドルが別のドルと完全に交換可能である。これを正確に機能させる上で、利用者はドルの履歴を知る必要はない。

私が考える通貨の定義とは、商品(現金)を媒体として価値の移動に関する情報を伝えるための、コミュニケーション・システムというものだ。商品の代替性が変化すれば、その情報を伝える力も弱まる。

つまり通貨の代替性を保証することは、言論の自由の問題なのだ。代替性と同じくらい重要だが、自由を侵害することは交換システムが破綻することを意味している。

すべてはプライバシーに関わっている

それは結局のところプライバシーに関わってくるものなのだ。取引履歴が曖昧にならなければ、通貨の機能もそうはならない。

すべての通貨の出処が個別にわかれば、それは個別に確認できる資産という性質を備えていることになる。債権者や司法官は、抵当権や差押えの権利を我々の通貨そのものに割り当てることになるだろう。

ここがブロックチェーンや仮想通貨コミュニティでのプライバシーに関する議論で重要なことなのだ。

仮想通貨反対という活動家による時代遅れの誤った主張に耳を貸す気がないのなら、あらゆる入出力を記録しているビットコインが、それほどプライベートなものではないことは理解しているだろう。(人目を忍んでドラッグや武器取引を行ないたいのなら、ビットコインではなく、100ドル札をぎっしりと詰めたブリーフケースを用意することだ)

ビットコインのこの側面は、代替性について深刻な問題を引き起こしている。

デジタル資産を交換するための様々な新しいブロックチェーン・プラットフォームでも、同様の問題が持ち上がるはずだ。

これらのシステム内の仮想通貨によるインセンティブおよびガバナンス(統治)モデルでは、信用問題を解決し、コミュニティ内の調整能力を高めるために、トークンが代替性を持たなければならない。(注記:この交換可能性は、トークンが不動産のような個別の資産に付随する債権の価格を表す時でさえ必要となる)

ビットコインにおけるプライバシーの限界について理解が深まり、ブロックストリーム社のアンドリュー・ポエルストラのような数学者がそれを克服しようとしている時でさえ、この話題に関する公の議論は代替性のより重要な点を見落としがちだ。

プライバシーを高めるための暗号化技術は、Zキャッシュのゼロ知識証明(情報の中身を知らせずに、それが真実であることを示す方法)、モネロのリング署名(秘匿性の高い電子署名の一つ)、そしてビットコイン・ミキサー(コインに関する情報を他に追跡させないようにする仕組み)などの仮想通貨プロジェクトに導入されてきたが、その社会的な価値を巡る議論は、人権としてのプライバシー順守と犯罪防止策としての社会的必要性の間の争いとして、かなり狭く捉えられている。

しかしこうした技術に真摯に取り組んでいる暗号作成者達は、もっと深く重要なことを述べている:プライバシーは仮想通貨の「通貨らしさ」を高めるために必要である、と。

これはとても大切な取り組みだ。全世界の通貨システムは、まさにプライバシーを侵害することで、その代替性を弱めてきたからである。

ほとんどの場合において、ドルは未だに別のドルと交換可能なものとして扱われているが、マネーロンダリング対策が厳しさを増すにつれ、このシステムの根幹は揺らいでいる。

コンプライアンスのコスト

最初は良かれと思って始まったのだが、1970年に制定されたアメリカの銀行秘密保護法(BSA)によって、銀行は顧客がサービスを利用する前に身元を確認し、その行動を効率よく監視しなければならなくなった。

BSAは麻薬戦争時にはアメリカの強力な武器となり、この原則は金融システムに深く浸透した。現在では世界規模の洗練されたシステムが、アメリカ国外から資金の流れを監視し、犯罪者を取り締まっている。

これらのプログラムがどれほど成功してきたかは議論の分かれるところだ。国連薬物犯罪事務所の試算では、マネーロンダリングの年間総額は2兆ドル、すなわち世界全体の国内総生産の5%に相当する。

この問題に対する政府の答えは、案の定、さらなる監視とコンプライアンスの順守を徹底するというものだった。

はっきりしているのは、これらの法律が最終的には世界中の通貨の流れを狭めてしまい、特に正直者ほど馬鹿を見るということだ。

2008年の金融危機、そして麻薬カルテルにサービスを提供したりアメリカの外国資産管理局(OFAC)の制裁リストにある者と取引をしていた銀行に多額の罰金が科されて以降、顧客確認(KYC)のためのID請求が大半の銀行に重い負担となっている。

これらのコンプライアンス・コストはあまりに大きく、コンプアイアンス担当者自身が「リスクが大きい」として、多くの銀行が完璧な合理性を追求したこの業界から手を引いてしまった。

カリブ海諸国のように地域全体が、この「反リスク」問題のせいで破産の危機を迎えているところもある。

銀行は今も穀物倉庫のような役割を果たしており、すべてのドルをひとまとめにして預金として扱っている。しかし過剰なコンプアイアンス・プロセスが、世界の通貨システムの代替性を効果的に弱体化させている。

「預金していない」バハマの一個人が送信した1ドルは、「顧客確認をした」アメリカの銀行の顧客が送った1ドルよりも価値が低くなってしまっているのだ。

ビットコインの限界

ビットコインはこの問題に対して逃げ道を用意した。コインを入手するのに個人的な身分証明は必要としない:

単にソフトウェアをダウンロードして、情報を特定するようなものは何も含まない公開鍵を作成するだけだ。発展途上国における銀行不足の解消策として、我々が目にしてきたものである。

しかしビットコインが大衆に広まっていないことから、利用者は必ずコインを法定通貨と交換しなければならず、銀行システムと接点を持つことになる。

ビットコイン・ウォレットと取引所が顧客確認の原則に従えば、入金と出金から身元が明らかになり、ビットコインの恒久的で不変の分散型台帳と組み合わさることで、完全に追跡可能な取引記録がすべて残ってしまうのだ。

この方法で司法省は、闇サイトのシルクロードを作成し、有罪判決を受けたロス・ウルブリヒトの調査過程で入手したビットコインを持ち逃げできると考えていた、シークレットサービスのあのゴロツキどもを捕まえたのだ。

ビットコインの追跡可能な取引履歴が代替性を失わせてきたことは、すでに理解できただろう。FBIが同じ調査過程で入手したビットコインをオークションにかけた際には、取引所の価格よりも高値での入札が殺到した。

なぜだろうか? これらが「白紙に戻った」コインだからだ:FBIのエージェントがそれらを入手することは二度とない。一つのビットコインが別のビットコインの価値を超えることがありうることが証明されたのだ。

不完全な代替性とは、人々が交換手段としてではなく投機資産としてビットコインを保有する傾向にあることを意味する。投機はもちろん良いものだが、ビットコインが何かの購入に使われないのであれば、それは通貨としては不完全だろう。

プライバシー=自由=健全な経済

だが政府が独自通貨を発行してまで同じ問題を抱えようとはしない以上、仮想通貨のプライバシー問題解決に取り組んでいる暗号作成者が、仮想通貨業界だけでなく世界全体の経済活動を高めるための鍵を握っている。そうすることで、彼らは自由を求める推進力ともなっているのだ。

なぜならプライバシーは通貨の代替性にとって重要なだけでなく、自由の土台でもあるからだ。今後さらに経済活動のデジタル化が進むにつれ、価値交換システム内での取引の簡単さによって測られる、プライバシーと自由というこの二重性が、様々な経済システムの差別化要因となるだろう。

中国を考えてみよう。アリババのアリペイとテンセントのウィペイに牽引されたデジタル決済の急激な拡大が、世界の注目を集めている。他国もそれに倣って、「キャッシュレス社会」を形成しようとしている。

しかし中国政府は監視国家としての様相を強め、市民の行動を測定し、刺激するような「社会的信用度」の点数化という不吉な要素を取り入れている状況では、デジタル決済のトレーサビリティは不安の種にしかならない。

デジタル取引のモデルがプライバシーと代替性、そして経済活動に与える脅威が、その使いやすさという利点を超えてしまうのは、いったいどの時点なのだろうか? これは開かれた経済モデルと閉じた経済モデルの間の世界的な競争において、考えるべき問題のはずだ。

それでは、プライバシー順守に賛成の暗号作成者達を心から支援しよう。彼らは将来のデジタル経済のインフラ作成に向けて、人々を守り、人々が取引するのに必要な、その土台を築き上げている。

Privacy Is Vital to Crypto – And the Global Economy – CoinDesk