ビットコイン、DLT、銀行台帳に対する中国人民銀行担当者の見解

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簿記とは、会計帳簿に経済データを記録することだ。

台帳は原始証憑(しょうひょう)を基に特定のフォーマットで記録した帳簿であり、すべての経済的取引が順に記録されていく。原始証憑は、取引が発生したとき、または完了したときに発行され、取引の発生または完了を記録または証明するものだ。

台帳は最も基本的な取引情報を反映した基データであり会計の重要な基盤となるものだ。経済的責任を明確にすることも重要なことだ。

台帳は様々な物に記録されるが、伝統的には紙が用いられる。しかし情報技術の発展に伴って台帳は徐々にデジタル化され、様々な会計データベースが登場してきた。会計の電子化は確かに今日の会計業務の主な手段となっている。

分散型台帳技術(distributed ledger technology:DLT)の出現は、台帳のデジタル化に続くもう一つの大きな飛躍となる可能性がある。

プルーフ・オブ・ワークの仕組みの中では、マイナーは「マイニング」を通じて取引記録の簿記プロセスを完了し、ネットワークの各ノードに公開された分散型共有台帳を提供する。

各ブロックチェーンは台帳であり、従来の台帳と会計上の意味での本質的な違いはない。しかし、技術的な観点から見ると、DLT台帳は従来の簿記の哲学を継承しているだけでなく、革新的な側面のおかげで比類のないメリットもある。

このようにDLTは、企業の台帳、国家の台帳、業界の台帳に関する重大な問題に取り組む上で重要な役割を果たす可能性がある。

共有される根本原理

従来の簿記モデルは会計に基づいている。

会計学において会計は勘定科目に従って仕訳される。勘定科目は要素の増減を記録したり変更の結果を反映したりするために使用される。

システム実装の観点では、勘定は一連のサービス契約の運搬体と言える。勘定には様々な製品やサービスを含めることができる。口座の残高は、製品やサービスの取引データの記録、集計、分類および連結の結果として変更される。

従来の電子決済は中央機関に開設した口座残高の変化の形で実現されるが、中央機関の行動に完全に依存している。対照的にビットコインシステムでは、簿記処理では未使用取引出力(unspent transaction output:UTXO)モードという新しいモデルが使用される。

経済学の観点では、UTXOとは本質的には公の合意に基づいて将来の価値を主張することだ。

具体的には、取引が完了すると、各ノードは取引の振る舞いとその結果について合意を形成する。この合意は、売り手が商品やサービスを販売した後、将来的に他の売り手から同じ価値の商品やサービスを購入する権利を取得することを承認する。

この将来の価値を主張する権利は異議なく広く受け入れられ、次の取引の決済に使われ、誰も拒否できない。

この権利を得るための必要十分条件は、ノード間で合意済みの対応する取引がなければならない、ということだ。言い換えると、取引出力(出力)を得るためには取引入力(入力)が必要だ、ということになる。

入力と出力

ビットコインの基盤となるブロックチェーンシステムは、ロック解除スクリプトとロックスクリプトを含む取引入力と取引出力を構築することによって、取引から生じる将来の価値を主張する権利の移転を記述し、完了する。

前の取引出力のハッシュ値と出力インデックスが取引入力となり、取引入力は以前の取引出力に対応することを示している。この取引の出力には、将来の取引のロック解除スクリプトによってロック解除されるロックスクリプトが含まれる。

将来の価値を主張する権利の所有者は、取引で権利を証明するためのビットコイン取引検証エンジンを通じてロック解除スクリプトを構築し、この権利を次のエンティティに転送してスクリプトのロックに使用する、という流れとなる。

ロック解除スクリプトとロックスクリプトは連続した価値循環チェーンに結びついている。ビットコインのブロックチェーンでは口座は不要だが、UTXOを介して「価値」転送を完了する。UTXOは「通貨」の役割を果たしている。

事実、通貨の本質とは将来の価値を主張する社会的に広く認められた権利だ。そのためUTXOは、ブロックチェーンネットワークの参加者の合意によって得られる将来の価値を主張する権利の一種と言え、通貨の本質に近いものだ。

しかしUTXOは取引媒体の役割を果たし、限られた合意の範囲内でのみ決済を行う。

ビットコインシステムはまた、UTXOの通貨単位は「satoshi」で、UTXOの通貨としてのパフォーマンス向上のため、1 Satoshiは通貨として1 ビットコインと等価である、と規定している。

これがビットコインの本質だ。ビットコインは、合意に達した特定の価値の将来の価値を主張する権利を表す、価値のシンボルまたは価値単位のようなものだ。

UTXOと口座(の相違点)

このアプローチを他のブロックチェーンにも適用してみると、さらに理解が深まる。

UTXOは口座とは全く異なる価値移転の一形態だが、この2つは互いに競合しない。ブロックチェーンはある意味で取引の「ジャーナル口座」として理解できる。このジャーナル口座はすべての取引情報をエンコードすることで変更不可能な形で記録する。

現実には、私たちが慣れ親しんでいる口座情報は、取引の「ジャーナル口座」に関する情報の二次的な処理でもある。UTXOは、ロック解除スクリプトとロッキングスクリプトの設計を通じて、異なるタイミングで発生した取引間での将来価値を主張するための転送チャネルと分配チャネルを結びつける。UTXO情報と取引情報は統合されている。

したがって、従来の口座処理の考え方を使うと、UTXOフォームで表される価値を口座フォームで表される価値に変換することもできる。

例えば、ビットコインウォレットの口座残高は、UTXOでの集計計算の結果だ。一方、イーサリアムではブロックチェーンに基づいた従来型の口座を導入し、口座での取引処理を状態遷移機能として表現している。

このように、状態は「口座」と呼ばれるオブジェクトと、口座間で価値と情報を転送する状態遷移とで構成される。

各口座名は20バイトの文字列からなるアドレスで、トレーダーのアドレスまたは契約のアドレスを使用できる。システムは状態遷移を通じて自動的に各口座の残高を計算する。

明らかに、中央機関がアルゴリズムコードに変更されたことを除けば、これは中央機関が元々行っていた口座処理と変わりはない。したがって、DLT台帳ではUTXOモードに続き、従来の台帳に似た口座モードが登場した。

残高とフロー

残高とフローは会計の重要な概念だ。

残高とはある時点での変数の値のことで、フローとは一定期間の変化の累積のことだ。貸借対照表は、会社の資産、負債および所有者の資本の実際の金額を含む、ある特定の貸借対照表日における企業の「財務状況」を示している。

キャッシュフロー計算書は企業のある会計期間での「キャッシュフロー」を示しており、損益計算書はある会計期間での「業績」を反映している。

したがって、資産および負債の収支報告書は企業の経済情報の残高会計であり、ある時点での会社の「スナップショット」だと言える。

キャッシュフロー計算書および損益計算書は、会社の経済情報のフロー会計であり、特定の期間における会社の変化を反映している。よく使われる期間には、月次、四半期、半期、年次がある。

残高は静的で現状を反映しており、フローは動的で進行中のものだ。両者は互いにリンクしており、相互に変換することができる(期首残高 + 当期増加額 – 当期減少額 = 期末残高)。

特に期首残高と期末残高の差が残高となる。当期増加額と当期減少額がフローだ。

企業の財務状況のより完全な理解を提供するため、財務諸表の分析では、ある時点での企業の財務状況を残高の観点から分析するだけでなく、過去のデータと比較して、企業の財務状況の変化とその背景にある要因をフローの観点から分析する必要がある。

ミックスとマッチ

上述のように、UTXOモードは本質的にすべての取引情報をエンコードすることによって変更不可能な形で記録しており、フロー会計のモードの一つである。

集計によって削減されるUTXOは口座残高に変換され、口座残高を分割することでUTXOの結果を取得することができる。コンピュータ用語では、UTXOと口座の間の変換をスプリット/マップ/リダクションアーキテクチャと表現できる。UTXOから口座まではマップ・リデュースの処理に相当する。

マイナーが各取引を検証してパッケージ化することはマップに相当し、各UTXOを検証し更新する。これは新しいキー・バリュー・ペアを生成するのと同等だ。リデュース処理はユーザーのウォレットに相当し、各UTXOは集計され、ユーザーのウォレット内の口座の概念に基づいた資金残高が得られる。

口座からUTXOへの移行は分割処理だが、この作業はユーザーのウォレットにも発生する。通貨の転送要求を受け取ると、ウォレットは転送量を分割し、取引入力として複数のUTXOを利用する必要がある。

口座モードと比較したときのUTXOモードの利点は、容易に並列化して効率を向上できることだ。しかしUTXOモードではすべてのフロー情報を格納する必要があり、データストレージの負担が大きくなる。

口座モードでは現在の残高情報のみを要求しフロー情報はすべて無視するが、その前提として現在の残高情報が信頼できるものでなければならない。

規制上の観点からUTXOモードはすべてのフロー情報を格納しており、監督と監査に役立つ。それでも、ビットコインのUTXOモデルは、ある意味で口座の概念を取り除くという点で、かなり極端であると言わざるを得ない。

しかし、UTXOと口座にはそれぞれ長所と短所があり、この2つのモデルを統合してそれぞれの強みを引き出すことができる。

例えば、同期処理を高速化するため、UTXOモードの口座を導入できる(イーサリアムが典型的な例だ)。並列処理の場合、口座モードはUTXOのコンセプトを参照して口座を分割できる。

つまり、異なる部門で異なる口座を作成し、同じユーザが複数の口座を持ち、各口座の取引を並行して自然に処理することができる。

処理終了後にすべての口座の残高が加算され合計残高が計算される。残高情報とフロー情報に対する従来の簿記口座のように、UTXOモデルと口座モデルを統合することにより、情報を要求する人はより完全な3次元台帳情報を提供する。

そしてこれはDLT台帳の開発において現在のトレンドとなりつつある。

UTXOと簿記

1494年にイタリア人Luca Pacioliが発表した論文「算術、幾何学、比および比例の要約」の中で、複式簿記の原理に関する体系的な解説が初めて示された。

複式簿記は、資産額と、財産価値と負債の合計額とが等価だということに基づいている。複式簿記はあらゆる経済活動について2つ以上のリンクされた口座に対応する変更を記録し、資金移動の結果を体系的に反映させる簿記の方法だ。

ある口座の預金高が減少すると別の口座の預金高が増加する、つまり借方と貸方は等しくなければならない。資本を例にとると、借り手は資金を受け取る側で、貸し手は出資元となる。

資金の支出がある場合、その資金の出処があるはずだ。「借方と貸方は等しい」とは、消費額が出資額に等しいという意味だ。複式簿記方式は経済的取引やビジネス結果に関する重要な情報を関連資料から取得し、現代の企業やビジネス社会の形成のための完璧な簿記方式を作成する。

ドイツの哲学者ゲーテは複式簿記を、「人間の知恵のすばらしい創造物の1つであり、ビジネス活動に携わる賢明なビジネスマンは誰もが活用しなければならない」と称賛した。

興味深いことに、UTXOの処理には従来の口座処理と同じように「ある口座で預金高が減ると、別の口座の預金高が増え、借方と貸方は等しくなければならない」という簿記の根本原理も含まれる。

これが意味するところは、UTXOに取引出力がある場合は取引入力が存在し、取引入力がある場合は取引出力が存在しなければならない、ということだ。

取引入力の量は、「ある口座で預金高が減ると、別の口座の預金高が増え、借方と貸方は等しくなければならない」ことの意味合いと一致して、取引出力の量に等しくなければならない。

DLT台帳の改良

この文脈において、私たちは分散台帳の利点を検証できる。

  1. 偽造が困難、高い効率、追跡が可能、監査が容易 - 伝統的に紙の台帳や電子台帳は偽造や改ざんが簡単にできる。原始証憑から会計帳簿までの会計処理は誤りが発生しやすい。ブロックチェーン技術に基づくUTXOは取引履歴の偽造や変更を不可能にするため、ハッシュ関数、タイムスタンプ、Merkleツリーなどの洗練されたデータ構造を暗号技術と合意アルゴリズムが補足する形で設計されており、アルゴリズム関数(例えばイーサリアムの状態遷移関数)を利用して自動的に口座残高を計算する。プロセス全体としては効率が高く、エラーもない。UTXO会計モデルも追跡可能で、監査も容易だ。
  2. 取引署名、合意アルゴリズムおよびクロスチェーン技術、および口座と証憑の照合、台帳の照合、口座と実際の預金額との照合を自動的に行うことで分散台帳の一貫性を保証 - どのエンティティも簿記を管理する権利を持ち、独自の口座を持っていると言うべきだ。またこの同じエンティティは通常、様々な種類の台帳を持っている。例えば、企業は出納台帳、銀行預金台帳、在庫台帳、請求書台帳、経費管理台帳、総勘定台帳、管理支出台帳、未収金台帳、固定資産台帳、17列明細台帳、無形資産台帳、払込資本台帳などの様々な帳簿を持っている。この観点では、台帳は常に「分散」されており、いわゆる中央管理台帳のようなものはない。台帳は偽造されやすく改ざんされやすいため、様々な「分散」勘定の一貫性を保護し維持する方法が、会計および監査の重要なポイントになっている。

様々な分散台帳の一貫性を実現するため、伝統的に調整制度が利用されている。

口座の調整とは、口座と証憑間、口座間、口座と実際の預金額を一致させるために、台帳と口座に記録された関連データをチェックして照合することを指す。口座と証憑との照合とは、口座記録と関連する口座証憑を一致させることを意味する。

勘定科目間のマッチングは、エンティティの様々な帳簿や、一致するエントリを持つ異なるエンティティから成る様々な帳簿を意味する。口座と実際の預金額のマッチングは、様々な財産価値の口座残高が実際の金額と一致することを意味する。

DLTはまず、取引の署名を通じて一致する口座と証憑を保証する。口座とは証憑であり、証憑は口座だ。この2つは一貫性があり、改ざんは困難だ。

第二に、DLTは合意メカニズムを通じて様々なエンティティの口座のマッチングを実現する。

取引情報は、合意に達した場合にのみ、共有台帳に書き込まれる。口座に書き込まれる情報は、エンティティが合意済みのものでなければならず、口座は自動的に照合される。

さらにDLTは、クロスチェーンプロトコルを使用して、現金間取引と現金証憑償還を実行する。これにより口座と実際の預金額との調整が自動的に実行される。

DLT台帳の改善

クロスチェーン技術は、現金取引と現金証憑償還における支払いの不可分性を保証するだけでなく、異種のクロスチェーン・エンティティの口座間の一貫性を保証する。

クロスチェーン技術には、次の3つのタイプがある。

  1. 公証制度 – 中央管理型または複数署名型の証人モデル。主な特徴は、クロスチェーンの構造と合意の特性に焦点を当てるのではなく、公証人、つまりクロスチェーンオペレーションの仲介者として行動する信頼できる第三者を導入することだ。
  2. サイドチェーンとリレー – サイドチェーンとはプライマリー・チェーンに固定された一種のチェーン構造のことだ。これはプライマリー・チェーンのフォークではなく、プライマリー・チェーンのデータ・フローから特定の情報を抽出して新しいチェーン構造を形成する。リレーとはクロスチェーンの情報交換と配信のためのチャネルのことだ。サイドチェーンであろうとリレーであろうと、データはプライマリー・チェーンから収集され、リスナーの役割を果たす。
  3. ハッシュロック技術 – この技術は異なるチェーン間で相互運用可能なトリガーを設定し、通常は乱数のハッシュ値が公開される。ハッシュ値は通貨移動のパズルのようなもので、秘密の乱数を解いた人だけがお金を得ることができる。同時に2つの「償還契約」も構築される。この契約は二重署名されて初めて有効になる。さらに制限時間があるが、譲渡ハッシュパズルを作成する人の償還契約の制限時間は他の人よりも長い。このようにして自分の権利と利益を守ることができる。

DLTの台帳は、特定のシングルチェーンおよびクロスチェーンの簿記技術により、時間とコストがかかり、間違えやすい調整作業を排除する、と言える。リアルタイムで自動的にあらゆる種類の「分散」台帳の整合性を取る。

個人にデータの権利を返す

従来、多くの当事者の個人情報は様々な種類の台帳で「消去」されてきた。特にデジタル経済の発展に伴い、個人情報のプライバシー保護がますます重要になっている。

中国の「サイバーセキュリティー法」とEUの一般データ保護規制(GDPR)は、個人情報の保護を強化するため、データ主体(所有者)に対する、知る権利、アクセス権、他者のアクセスを妨げる権利、データを移動する権利、忘れられる権利などの法的保護を提供する。

署名、暗号化、その他の技術的な方法により、DLTは技術的なレベルで個人にデータ権利を返すことができるようになる。

ゼロ知識証明や準同型暗号化、セキュアなマルチパーティー計算、リング署名、グループ署名、階層証明書、コインシャッフルなどの暗号プリミティブとスキームを使用することにより、取引の認証とコンテンツのプライバシー保護も実現できる。

財務諸表情報の価値向上

DLT台帳は追跡可能で変更不可能であり偽造されにくいため、財務諸表情報の信憑性と信頼性を保証できる。さらにDLT台帳は、以下の面で財務諸表情報の価値をさらに高めることができる。

これには3つの側面がある。

  1. 財務諸表情報の適時性の向上 - 伝統的に、会計処理、記録管理、調整にはコストが掛かる。したがって、コスト便益の原則に基づいて、従来の会計慣行は一般に、月次、四半期、半期または年次ベースで会計報告を作成し開示することを求めている。この種類の財務諸表は、金融情報の適時性に影響を与える重大な時間遅延があるという周期的な仮定に基づく。このような財務情報を必要とする投資家、債権者、財務アナリスト、ビジネスマネージャーなどのエンティティは継続的に意思決定を行っている。彼らは意思決定のためにいつでも必要な情報を入手できることを望んでいる。財務情報の適時性が重要となる。技術的実現可能性の観点では、自動実行や実時間会計、達成可能なグローバルな整合性を備えたDLTに基づいて、貸借対照表を瞬時に生成することが可能となった。これは財務会計における重要な革新と言えるだろう。もちろんこれには前提条件がある。例えばDLTの台帳は、世界中のすべての勘定科目を網羅するために十分な偏在性を備えている必要がある。
  2. 財務諸表情報の関連性の向上 - 需要を満たす原則によると、財務諸表は情報利用者の意思決定ニーズを満たすように設計されている。そのため財務諸表情報は情報利用者の決定プロセスに関連するものでなければならない。過去のコスト情報と比較して、評価額情報がより適している。しかし伝統的に前述の財務諸表の準備と開示の適時性を達成することが難しいため、従来のコストの方法に多かれ少なかれ頼る必要があるが、これはユーザーの意思決定プロセスに対する財務情報の妥当性を損なうものだ。DLTを使用することで、財務情報の信頼性を達成できるだけでなく、財務諸表の作成の適時性を達成し、評価額法に基づく評価が向上することで、情報利用者のニーズをさらに満たすことができる。
  3. 財務報告の完全性の改善 - 同様に、簿記には費用対効果の原則に基づくコストが掛かるため、従来の財務諸表は意思決定者にとって有用あるいは重要であると推測される情報を選択的に反映することが多い。情報ユーザはグローバルな情報ではなく、会社のビジネス活動に関する情報の一部にしかアクセスできない。DLTは、会計コストを削減して効率を向上するだけでなく、ビジネスオペレーションに徹底的に浸透して完全な情報を得ることを可能にし、引いては意思決定の効率を向上する。しかし、このプロセスでは、関係する利害関係者の情報に対する権利と会社の営業秘密の保護の必要性との間に存在する情報開示の境界に触れる可能性があり、さらにバランスを取ることが必要だ。さらに、グローバル情報を取得するということは情報が大規模に成長するということであり、情報価値をより良く抽出する方法が重要となる。このような観点から見ると、台帳技術の将来の方向性として、DLTはビッグデータ分析、クラウドコンピューティング、人工知能などの技術と統合していくだろう。

国家の台帳としてのDLT

既存の台帳技術は経済的ニーズを十分に満たしているが、経済活動はデジタル化と高知能化に向かって進化し続けているため、従来の台帳技術の高機能化と変化は避けられない。

DLTは発展途上の新技術としては必ずしも将来の台帳技術の必須項目ではない。しかし、様々な種類の帳簿を作成する上でDLT適用の研究調査を強化することは、間違いなく実用的な意義がある。

近代経済において、政府が経済への関与を深めるにつれて、国家のバランスシート管理はますます重要になっている。1992年の欧州通貨危機と1994年から1995年にかけてのメキシコ通貨危機は、主権国の資産と負債の成熟度の深刻な不一致や通貨の不一致、そして財政赤字が通貨危機を引き起こすことを示している。

欧州と米国で発生した債務危機はさらに顕著である。

主権国のバランスシートの健全性を維持することは、金融危機に効果的に対処し経済回復を迅速に達成するためにとりわけ重要だ。

それだけでなく、国家バランスシートの作成と管理は、国家統治体制と統治能力の近代化を促進する重要な部分となっている。2017年6月26日に開催された第36回改革深化のための中央リーダーシップグループ会議では、「国と地方政府のバランスシート生成の作業計画」が検討され採択された。

これまでの成果

国家台帳は、最終損益を見つけ出し、リスクを明らかにし、国の統治を助ける上で重要な支えとなり得るものと言える。しかし、実際の準備プロセスでは、多くの課題と困難に直面するものだ。

これまでのところ、カナダだけが地方政府のバランスシートを作成しており、それ以外の国では作成できていない。このことは国家のバランスシートの作成がいかに難しいかを示している。

すべての困難の中でも、最も根本的な課題はデータ収集だ。

国家のバランスシートは大量の基本データ、高いデータ品質、高度な技術要件を必要とし、実装は難しい。

例えば、データと統計量は十分ではない。そのようなデータには中央機関や省庁、産業界、地域を横断する幅広い取引データが含まれるが、収集して集約することは困難だ。この点でDLTは国家勘定の準備を現実化させる役割を果たす可能性がある。

ブロックチェーンを使用して天然資源、無形資産、金融資産、物的資産を結び付け、様々な情報障壁を解消し、情報入力を統合し、重複作業を回避し、データ検証の誤り率を低減するデータ共有プラットフォームを構築する。政府機関、省庁、産業界、地域間でのデータ共有、検証、統計分析がより効率的になる。

技術的特性から判断すると、ブロックチェーンシステムの各当事者はリモート・マルチアクティブ・ノードだと言える。これは本質的にマルチアクティブなシステムであり、クロスチェーン技術によって様々な台帳間で情報の一貫性を実現することができ、幅広い分野をカバーするのに適している。

財務諸表におけるDLT

包括的な財務統計が重要であることは言うまでもない。

包括的な財務統計の開発を加速させることは、実体経済に対する金融サービスの有効性を効果的に監視し、サービス効率を向上させるための重要な情報基盤だ。

系統的な財務リスクの先制的な予防と解決に努め、財務の安定性を確保することが急務だ。金融システムの改革を包括的に深化させ、現代的な金融システムを確立することが重要な動きとなる。

2018年4月9日に中国国務院は総合金融統計業務を決定的に展開するための「財務総合統計業務の全面的な推進に関する意見書」を発表し、統一基準、同期データ収集、集中データ検証、集約データ共有の作業メカニズムを構築することを要求した。

技術的な観点からDLTはこの4つの要件に適していることは明らかで、包括的な財務統計の基盤となる可能性がある。

結び

台帳技術の近代化は企業統治の近代化の基礎であり、さらには国家統治の基礎でもある。DLTには独自の利点があり、重要な役割を果たすことが期待されている。もちろん欠点もある。例えばDLTには要件を満たすほどの十分なスケーラビリティがない。

データのプライバシーとアクセス制御は改善の必要がある。DLTの既存の会計システムへの統合はさらなる研究が必要だ。様々な種類の台帳を生成するためにDLTをさらに適用する方法については、さらなる試行錯誤と調査が必要だ。明らかに上位レベルのDLT台帳アプリケーションは、下位レベルのアプリケーションの成熟度を基にしている。

例えば、DLT台帳が企業レベルで既に広く使用されていれば、国家および産業界レベルで利用されるのも当然のことだろう。

したがって、DLT台帳の正のエネルギーを最大限に生かすために、技術適用のスケール効果とシナジー効果には注意を払うべきである。

Bitcoin, DLT and Bank Ledgers: A Central Banker’s View