デジタルIDの標準化が加速、プロジェクトuPortに注目

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デジタルIDの標準化が加速、プロジェクトuPortに注目

ブロックチェーンの企業家三人に話しかけたら、少なくともそのうち一人はインターネットユーザーに自分自身のデータの所有手段を売り込んでくるだろう。

ヤフー、Equifax(アメリカの信用情報会社)、そしてフェイスブックが最近個人情報の流出を引き起こしたことで、スマートフォンを片手に歩き、お喋りをし、検索し、食事をし、ネットに投稿し、そして記事に目を通している誰もが、広告主と機械学習のアルゴリズム、そして犯罪者達に見られていることが改めて明らかになった。

そしてユーザーはこのデータを管理することはもちろん、それによる報酬を受け取ることもないのだ。

しかしデータの適正管理と同時に主流になることを目指している好況のブロックチェーン産業が、その対抗策を与えつつあるようだ。そして次々に現れる分散型アプリケーションによって、ユーザーが自身のデータを現金化できるようになってきているらしい。

公開鍵と秘密鍵といった暗号技術を用いて、そうしたプロジェクトはデジタルサービスのユーザーに対しデータ管理を可能にし、数ドルの仮想通貨と引き換えにYelp(アメリカのローカルビジネスレビューサイト)のブックマークを広告主に販売できるようなマーケットを何度も提供している。

しかしイーサリアムベースのアイデンティティ・プロトコルであるuPortのチームは、さらに大きな報酬を追い求めている。

「どうしたら自分のデータから収入を得られますか?」という質問よりも、uPortが答えたいのは「デジタル時代における自分とは?」というものだ。

uPortプロジェクトの共同設立者で責任者のルーベン・ヘックにとって、これは単に別のアプリを用意すれば答えられるという質問ではない。

なぜならインターネットはアイデンティティ層が埋め込まれておらず、ヘック曰く、アプリケーション層というインターネット表層の微調整だけでは、手を加えることはできないからだ。

それよりむしろ、インターネットはさらに深い所から再構築される必要があり、ヘックによると、uPortが目指しているのはまさにそこだという:

我々はインターネット上にまたがる水平型の層として、アイデンティティ層を作り出す技術を手に入れました。一つの企業によって独占的に所有され、管理されることはありません。

その目標によって、イーサリアムの新興企業コンセンシス社が支援している中で最も初期のプロジェクトの一つuPortは、分断され、安全とは言えないユーザーのデジタルIDを統一するための、最も期待できるブロックチェーンベースの解決手法として認識されている。

IDのインターネット

特筆すべきは、uPortがエンドユーザーに焦点を当てていないにもかかわらず、これほどの関心を集めているということだ。

uPortの戦略及びオペレーション責任者ダニー・ザッカーマンによると、このプロジェクトはイーサリアムの開発者コミュニティからIDシステムを、特にイーサリアムの基本理念に通じる分散型IDシステムを何度も要求されたことから生まれたという。

そうした背景から、uPortが選んだ最適のアプローチは、ヘック曰く「アプリケーションにいくつかのコードを統合する」ことによって、ブロックチェーン上にあるユーザーデータの保管作業を委託できるような機能を、開発者に提供するというものだった。

それでもなお、uPortがエンドユーザーからは見えない分散型アプリケーションの内部に埋め込まれているというだけでは、必ずしも安全だと言い切ることはできない。

「ユーザーが交流するには様々な方法があるでしょう」ザッカーマンは言う。

それこそがインターネットのためのアイデンティティ層であり、インターネット上で交流する手段は一つではないのです。

インターネットのためのアイデンティティ層とは何かを説明するために、ザッカーマンはアナログ世界の「トップダウン型のメカニズム」から始めた。

そこでは政府が限られた方法で個人のIDを定義している:パスポート番号、国民識別番号、社会保障番号、運転免許証番号などだ。分類は管轄区分によるが、大半の人々は一つか二つ、公式に認可された重要なIDを所持している。

しかしウェブ上では対照的に、至る所で自由に作成できる。

インターネットでは、他のあらゆる種類のIDシステムが登場しました。

ユーザーネームとパスワードという典型的なものから、自分がどこの誰であることを示すものなら基本的には何を使ってもアカウントが作成でき、その結果、多くのIDが蔓延してしまっているのです。

ザッカーマンは言った。

そしてユーザーデータは多くの異なる場所で利用されながらも、管理はできていません。

多くのブロックチェーンの信奉者にとって、それではまったく意味がない。一方、(セキュリティ上の間違いを犯さずに)これら複数のIDを誰もがたやすく扱えるというわけではない。

かといって、中央集権型の単独機関にデジタルIDの取り扱いを委ねるのもおかしな話だろう。

そうではなくて、uPortの考えでは利用者がIDを保管する責任を負い、もし望むならID関連のデータを共有し、第三者の手を借りずに仮想通貨を管理できるような暗号プロトコルを利用させるというものだ。

この目標はしばしば「自己主権型(self-sovereign)ID」と呼ばれている。

雑多な選択肢

ブロックチェーン技術を利用して自己主権型IDを目指しているプロジェクトは、uPortだけではない。

ソブリン財団はuPortの競争相手としては最も有名なものの一つだろう。

財団は、ハイパーレジャー・コンソーシアム(ブロックチェーンの推進を目指している)が昨年立ち上げたIDツールの開発を目指す、プロジェクト・インディを支援している。

パブリック型で許可の必要のないuPortとは対照的に、インディはハイブリッドと言える:誰でも台帳を閲覧できるが、書き込みには許可が必要なのだ。さらにuPortとは対照的に、プロジェクト・インディはICOを計画している。

セカンドレイヤー(ブロックチェーン上に記載されないオフチェーン)上でスマートコントラクトを実現するプラットフォームRSKで、今年後半に導入が予定されているIDプラットフォームのシビックは、ICOで3,000万ドルを最近調達した。

マイクロソフトとアクセンチュア(総合コンサルティング会社)は、許可を必要とするイーサリアムのプライベート型バージョンを利用したIDの試作品を発表した。

一方、イーサリアムのパブリック型ネットワークの開発者達はデジタルIDの標準化に取り組んでいる。ERC725は、ICOの原動力となった仮想通貨規格ERC20の開発者、Fabian Vogelstellerが中心となって開発している。

最後に、標準化団体のワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアムと提携しているデジタル・バザーのチームは、ヴェレス・ワンというブロックチェーンベースのIDソリューションの実験的な「testnet」バージョンを開始した。

uPortと同じくそれはパブリック型で許可を必要とせず、独自の通貨を持たない。しかしイーサリアムベースのuPortとは異なり、それはブロックチェーンから独立している。

これらの派生プロジェクトがすべて共存しながら、ブロックチェーンベースの標準IDを競い合うことのリスクは、標準化が現在のシステムを再構築するだろうというものだ。つまり、IDをそれぞれ分散したまま保管してしまうということである。

しかしuPortを含むプロジェクトチームの多くはそのリスクに気づいており、異なる標準化団体と共に情報交換システムを作ろうとしている。

例えばuPortはマイクロソフトやアクセンチュアのような大企業を含む分散型IDファウンデーションに参加し、すべての人にとってのスタンダードを開発している。

ヘックはウィチャットやワッツアップ(アメリカのスマートフォン向けインスタントメッセンジャーアプリ)、そしてフェイスブック・メッセンジャーを引き合いに出し、情報交換の重要性を強調している。

これらのメッセージアプリのユーザーベースと同じくらい巨大でありながら、「どの一つとして電子メールの代わりにはならない」と彼は言う。

続けて、彼はその理由を述べた:

電子メールは世界共通で機能している唯一のものです。どこからでも、誰にでも送ることができます。すべての人が互換性を持っているのです。

「自分達だけで取り組むのは良くありません」彼は語る。

共通規格がない以上、以前成功していたからといって、これからも成功するような解決手法は存在しないのです。

勢いと障害

これらの解決手法はここ数年で目覚ましい進歩を遂げてきたが、uPortはコンセンシスが支援した様々な「看板事業」の中に、潜在的なパートナーや顧客を数多く抱えている。

看板事業の一つViantは現在uPortに統合され、OpenLaw、Meridio、そしてCivilなどもあとに続く予定である。

今年、イーサリアムベースのサプライチェーンのプラットフォーム上で展開予定のViant共同設立者タイラー・マルビヒルは、uPortをIDソリューションとして活用することは「とても簡単な決断」だったとコインデスクに語っている。

コンセンシスとのつながりだけでなく、「自己主権型IDで先頭を走っていた」というのが理由だという。

コンセンシスから派生した予測市場(未来のことを予測し、正しければ報酬を受け取り、誤っていれば掛け金を失う)のGnosisは、そのOlympiaトーナメントでユーザーが一回のみエントリーすることをuPortで確認した。

コンセンシス以外では、スイスのツークに拠点を置く分散型資産管理会社のメロンポートが、顧客確認とマネーロンダリング対策にuPortを利用している。

しかしuPortで最も注目すべき提携はツーク政府自体と結んだもので、イーサリアムで市民ID登録のための試験プログラムを実施している。最初の登録は11月に完了し、現在その数は200を超える。市政府は先週、uPortによる投票の試験プログラムを発表した。

uPortとマイクロソフトがブラジルの企画・予算・運営省と協力して認可文書を確認するという試験プログラムは、2017年6月に開始された。ヘックによると、そうした提携がさらに続くという。

現在も他の市や政府に話を持ち掛けています。現時点では、それが誰なのかは明かせませんが。

しかし多くの点で、uPortの道のりはまだ険しい。

イーサリアムのエコシステム全体を停滞させているのと同じ課題が、uPortの先行きを不透明なものにしている。取引をより速く、より安く行なうために、どうやってネットワークを拡大するかというのが大きな障害だ。

そして、さらに重要だといっても過言ではないが、uPortがIDを重視していることを考えると、イーサリアムのように誰でも見られるブロックチェーンを利用する際に、ユーザーのプライバシーをどのように確保するかという疑問がある。

ブロックチェーンの透明性は間違いなく利点なのです。

しかし個人情報とIDデータに関しては、不利に働いてしまいます。

最後に、ユーザーが秘密鍵を紛失し、その結果として、デジタルライフを過ごせなくなったらどうするかという疑問が残っている。

uPortは、複数の友人がある人物の身元を保証し、失ったIDデータを新しい公開鍵に移動するという手法を始めとして、この問題に対して多くの解決策を示してきた。

だがそれはイーサリアム固有の解決策であり、現在、チームはブロックチェーンに依存しない手法を研究している。

これらの障害を抱えているにもかかわらず、それでもなお、uPortは開発者達にそのプラットフォーム上でアプリケーションを利用してもらうという一大目標に向かって、何の問題も抱えていない。ヘックは結論付けた:

みな我々の元に来ます。

In the Scramble to Fix Digital Identity, uPort Is a Project to Watch – CoinDes