ロシア政府は暗号通貨の導入に慎重な態度を取っている。プーチン大統領は木曜日に行われた年次の「ホットライン」でこのように述べた。
ロシアはいつか独自の暗号通貨を持つのかという質問に対しプーチン大統領は、暗号通貨は「本質的に国境を越えて広がるもの」なので、ロシアが暗号通貨を導入することは考えられない、と答えた。
プーチン大統領はこのように慎重な態度を示しながらも、暗号通貨が「世界中で開発されている」こと、そしてロシアは暗号通貨技術の可能性を調査すべきだという点は認めている。
考えられる利用法としては、「世界的な金融取引でのさまざまな制約を回避する」ことがある、とプーチン大統領は述べている。
これは近年ロシアの銀行や企業、個人に対して課せられている制裁を緩和するのにブロックチェーンが役立つ可能性があることを示唆する発言だ。
さらにプーチン大統領は4時間に渡る年次会合の中で、暗号通貨のマイニング、つまり大量の電力を消費してブロックチェーンに取引を追加し、同時に新たにコインを「鋳造する」処理は規制されておらず、暗号通貨はロシア国内では合法的な通貨であると認められていない、と指摘した。
特にプーチン大統領は昨年ロシア政府機関に対して発行した一連の命令の中で、ロシア国内のマイニング業界を含む暗号通貨関連の規制を命じている。
「暗号通貨は日本国内のどこかで使われているが、日本以外の国では使えないものだ」木曜日にプーチン大統領はこのように述べている。
立法府の緩慢な動き
プーチン大統領のコメントは、暗号通貨技術に関連するいくつかの方策をロシア立法府が時間を掛けて検討している中で出されたものだ。暗号通貨技術についてはプーチン大統領自身が支持することを過去に表明している。
これまでにブロックチェーンと暗号通貨に関する3つの法案がロシア連邦議会の下院に提出されている。
そのうち、「デジタル金融資産関連法案(”On the digital financial assets”)」、「デジタル権利関連法案( “On the digital rights”)」と題された2つの法案は、5月22日に開かれた第1回公聴会を通過している(法案を可決するためには3回の聴聞会が必要だ)。
両法案の目的は、トークンやブロックチェーンといった基本的なブロックチェーンに関する法律用語を導入することにある。両法案はまたトークンの換金を公認金融機関に限定し、ロシア国内での暗号通貨取引とICOを管理する規制機関としてロシア連邦中央銀行を指定している。
もう1つの法案である「分散型国営マイニング関連法案(”On the distributed national mining”)」は議会で否決された。
Alexei Kudrin氏が所長を務めるモスクワのシンクタンク、戦略開発センター(Center for Strategic Development)の開発部門専門家で、ロシア金融部門でかつてトップを務め、ロシアの支配者層の中でブロックチェーン技術を提唱する1人でもあるMichael Komin氏は、これらの法案は、これまでのところブロックチェーンに関連する適切な法律用語が作られていないため、「半分中身がない」ようなものだ、と考えている。
「国会ができることはただ一つ、そのような技術を禁止することですが、既にブロックチェーンの要素を使っているロシア連邦中央銀行や財務省、そしてプーチン大統領の顧問Andrei Belousov氏は禁止することに賛成しないでしょう」
Komin氏はこのように述べている。
Komin氏は現在のブロックチェーン関連法案は「時期が来るまでそのままにしておいて他の法案の山の中で腐る」ことを期待しているようだ。
Putin: Russia Should Explore Blockchain to Avoid Finance ‘Limitations’