フィリピンの5つの地方銀行は、Ethereumのスタートアップ企業であるConsensys社によって開発されたブロックチェーン上で、リアルタイム小売決済システムのパイロットテストを行います。
ユニオンバンク・オブ・フィリピン(UnionBank)は、フィリピンで2番目に大きいミンダナオ島にある5つの地方銀行で金融包摂(貧困層に正規の金融取引ができるように改善する解決策を提供すること)をさらに進め、35人の非銀行利用者に対して、リアルタイムで安価な小売決済システムのテストに参加してもらう予定です。
「プロジェクトi2i」と呼ばれる島から島、機関から機関、そして個人から個人へ – ユニオンバンクは、地方銀行を国の主要な金融ネットワークに結びつけることが目的だと述べています。
地方銀行は、国の主要な金融システムが届かない地域では、経済基盤としての意義をもっています。これらの銀行は、銀行間ネットワークであるBancnetにつながっておらず、Philippines Clearing Houseのメンバーでもないため、小切手を発行していません。
中央銀行であるBankgko Sentral ng Pilipinasによると、フィリピンの全1,634都市のうち554都市と地方自治体は非銀行化されたままであるそうです。
プロジェクトi2iは、地方銀行と主要な銀行ネットワークを結びつけ、条件を平等にするのに役立つだろう、とユニオンバンクは考えています。
ユニオンバンクの技術兼業務責任者であるヘンリー・アグダ(Henry Aguda)氏は、
“地方銀行は、BancnetにもSWIFT(国際銀行間通信協会)にも接続していません。もし、これらに接続しようとすると、データセンターを建設し、サイバーセキュリティ対策も行わなければならず、非常にコストがかかります”
と述べ、同銀行がProject i2iに3百万ドルを投資したことを明らかにしました。
彼はまた以下のように述べました
「このブロックチェーン・プラットフォームを使えば、必要コストはありません。 コンピュータ、タブレット、またはスマートフォンにアプリケーションi2iを導入するだけで、銀行と銀行をブロックチェーンで接続して取引することができます。」
同銀行は、年末までに100以上の地方銀行が参画することを期待しています。また、この目標を達成するためには、銀行がどれほど速く採用するかにかかっていると考えています。
Ethereum技術の導入
ユニオンバンクは、ニューヨークに本拠を置くEthereumのスタートアップ企業のConsensys社と提携し、5つの地方銀行(Surigao del Sur、PR Savings Bank、City Savings Bank、FairBank、Progressive Bank)とプロジェクトを実行します。
Project i2iをサポートするプラットフォームは、今月初めにAmazon Web Services(AWS)と提携した、企業向けのブロックチェーンソフトウェアであるConsensys社のKaleidoです。
このクラウドソフトウェア製品は、データ分析機能、複数のプロトコルオプションや承認システムなどの機能を提供し、プライベートブロックチェーンネットワークとEthereumブロックチェーンを接続します。
パイロットテストに参加するCantilan Bankの副社長であるターニャ・ホッチキス(Tanya Hotchkiss)氏は、このブロックチェーン技術によって、銀行間の振替を早めることができ、資金譲渡手数料を大幅に削減することを期待しています。
具体的には、現在の50から150フィリピンペソ程度かかっていた資金移動手数料を、1フィリピンペソまで大幅に削減できればと考えています。
さらに、ブロックチェーンの導入により、従来の手動プロセスでは、1日から1か月程度時間がかかっていた自動照合と銀行承認が、わずか5分に削減されます。
“ユニオンバンクは、フィリピンの500カ所の地方銀行をブロックチェーンに結びつけたい”
と、アグダ氏は付け加えました
Philippines’ Banks to Pilot Ethereum-based Blockchain for Retail Payments