ビットコインのようなプルーフ・オブ・ワークの暗号通貨はASICマイニングハードウェアの波に悪戦苦闘している。
Nakamoto氏は分散化された暗号通貨マイニングの合意が大きなプールのように広がることを想像していた。しかし最近は2、3の大規模なマイナーがマイニングの利益の大部分を獲得する状況に変わってしまった。
その結果、暗号通貨の開発者やコミュニティは「使った分だけ学ぶ」やり方でソリューションを実装している。Sia coinの開発者David Vorick氏がもたらす最新情報は、彼のチームがObeliskプロジェクトでマイニングの世界に進出した状況と概要を提供してくれるものだ。
ASIC耐性の異なる見方
他のプロジェクトと同様に、安価なASICマイニング装置の導入はプロジェクトにとって悩みの種となるだけでなく、ASIC耐性に対するユニークなソリューションとなってきた。
プロジェクトは歴史的に、GPUやCPUを含むあらゆる種類のチップに均等な機会を与えようとしてきた。ASICが支配権を得ようとする動きに抵抗する取り組みはアルゴリズム開発者の肩に掛かっている。
しかし、Vorick氏とSiaはチームとして勝てる戦いだとは思っていない。ハードウェアエンジニアにはアルゴリズム開発者がついて行けないほど迅速かつ安価にASIC耐性を回避する設計を行う自由度がある。
Vorick氏は次のように書いている。
「最終的には汎用目的のハードウェアを凌ぐ性能のカスタムハードウェアを作れるようになるでしょう。私が会話したASICを支持する人はみな、予算が限られている場合でも、ハードウェアエンジニアが特定の問題について設計する自由度を一貫してかなり過小評価してきたことはいくら強調しても足りません。
どのようなアルゴリズムに対しても、カスタムハードウェアを設計するエンジニアが汎用ハードウェアを叩きのめすために取り得る道は常にあるものです。これが汎用ハードウェアの本質的な限界なのです」
考慮すべき点は、ASICマイニングに許される余地は最小限の抵抗の道だ、というように思える。Bitmain社のようなメーカーはできる限り利益を得るために決して効率が良いとは言えないハードウェアを製造しようとしており、プロジェクト側はその点は諦めなければならない。
しかし他のプロジェクトでは別の立場を取っている。例えば、対照的な立場にあるMoneroはハードフォークを実施してASICマイニングができないようにした、と主張している。
ASICマイニング装置の購入者は自分の責任だと思っているが、ASICメーカーはMoneroのCryptonightアルゴリズム用マイニング装置の損失を慌てて埋め合わせようとしている。
マイニングハードウェアの製造メーカー:儲けるためには汚い手を使うことも厭わない
中国のASICメーカーBitmain社は暗号通貨マイニング業界で中心的な大企業となった。ライバル企業がこの大企業と肩を並べようとすると、価格と規模の障害に直面する。Bitmain社はまた、GPUマイナーのいかなる利益をも締め出す秘密のマイニング支配者層を作ろうとしていることで非難を受けている。
マイニングの中央集権化は暗号通貨プロジェクトにとって常に懸念事項となっているが、批評家が主張するようにBitmain社はこの危険性に対してほとんど関心を示していない。
Vorick氏の投稿ではなぜ彼がこれが本当だと考えているかについて詳しく述べており、Bitmain社のハードウェアが同社に巨額の利益をもたらしているからだ、と主張している。
彼は次のように書いている。
「調査したところ、マイニング設備の製造コストの総額は1,000ドル以下であることが分かりました。つまり、この設備を10,000ドルで購入した人はメーカーに多額の利益を払い、9つ分の設備をさらに製造する資金を与えていることになります」
そのため製造メーカーはマイニングによる儲けが減る中でも利益を上げることができる。ASIC耐性のあるアルゴリズムの常に一歩先を行くことでビジネスに恩恵をもたらしている。
マイニングの中央集権化に対抗するツールを開発するプロジェクトでは多くのアイディアが出ている。強引に利益を追求するメーカーやマイニング企業が増えているが、そのような企業はNakamoto氏が元々持っていたビジョンに沿った公平な条件を実現するために努力しているコミュニティの妨害に直面することになるだろう。
Secret ASICs, Hidden Farms, and Manufacturers Playing Dirty: the New State of Cryptocurrecy Mining