ゴールドマンサックスがビットコインの先物取引を計画中
ウォール街を代表し、世界で最も有名な投資銀行かつ金融サービス提供機関であるゴールドマンサックスが、ビットコインの先物取引を行なうことを計画している。
JPモルガンを始めとするゴールドマンのライバル企業は、ビットコイン取引におけるリスクと価格の乱高下を避け、これまでのところ公にはこの分野には進出していない。
ゴールドマンの取引の真相は?
今後数週間で、ゴールドマンは自己資本を用いてビットコインの先物取引とノンデリバラブル・フォワード(先渡取引の一種)、つまり、より柔軟性の大きい先物取引を法人客向けに売買することを計画している。
先物取引とは拘束力のある契約で、購入者は将来の特定の時期に資産を固定価格で売買することができる。伝統的に先物取引はリスクを分散させるか、トレーダーが価格の上昇を信じている時に「強気に出る」ために用いられてきた。
重要なのは、ゴールドマンはビットコインの先物取引によって、仮想通貨における基軸通貨のビットコインを直接売買することなく扱えるいうことだ。しかし今のところ、ビットコインブロックチェーンに直に関わるという予定はない。
ゴールドマンの最初のデジタル資産トレーダーであるジャスティン・シュミットが、ビットコインの先物取引を担当することになっている。
ニューヨークタイムズの記事によれば、シュミットはゴールドマンが規制当局からの承認を確保し、仮想通貨にまつわるリスクを軽減することができるなら、ビットコインそのものを取引することも考えているという。
なぜゴールドマンはビットコインを扱うのか?
ビットコインの舞台に足を踏み入れたのは顧客の利益を追求するためだと、ゴールドマンは述べている。これまでの得意客が希少価値の高い金のような資産として、ビットコインを保持したがっているのだ。
ヘッジファンドやエンダウメントもまた、新たに受け取ったビットコイン寄付の保管と取扱いについて、最良の管理方法をゴールドマンに求めている。
金融危機以降、技術優先の手法に貫いてきたゴールドマンは、ウォール街のライバルに対して戦略的優位を得ようとしているのかもしれない。
すでに仲介人としての力を発揮して、シカゴ・マーカンタイル取引所とシカゴ・オプション取引所で、ビットコインの先物取引を売買したいという顧客を支援してきた。
ビットコインの取引の拡大
ゴールドマンのライバルたちはビットコインを「バブル」や「詐欺」と批判して、それを公式に扱う計画を表明してはいない。特にJPモルガンCEOのジェイミー・ダイモンは、ビットコインを「ろくでもない価値保存」と表現している。
一方、ゴールドマンはビットコインが伝統的な通貨の特徴を備えていないことを認めつつも、それを詐欺だとは考えていない。
先行したゴールドマンに他の金融機関が続くかどうかは定かではない。これまでのところ、ほとんどのビットコインは価格の乱高下が激しく、世界的にも交換基準が明確に定まっていない。これらの要因によって顧客は潜在的に、市場操作と急激な価格下落のリスクに晒されている。
ゴールドマンがビットコインの取引に正式に参入した結果、一つの重要な質問が残っている:ビットコインの先物取引を他の金融機関に先駆けて、顧客のために自信を持って行なうにあたり、現在、ゴールドマンサックスにはどのような情報の非対称性が存在しているのだろうか?