オピニオン:チューリップ神話と現代の暗号通貨への懐疑論

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「チューリップのことを知ってる?」

この質問は暗号通貨に足を踏み入れた人なら何回も聞いたことがあるだろう。暗号通貨業界が得てきた膨大な利益を考えるとこの状況を見る人の多くは同じ結論に達する。暗号通貨はバブルだ。

この解釈は極端なものではなく、経験豊富な暗号通貨トレーダーの多くはこの見方に賛成している。バブルは暗号通貨業界では予想されたものだった。意見の相違が現れるのは、「バブル崩壊」が小規模な挫折に終わるのか、あるいはエキサイティングだが短命に終わるのかを判断するときだ。

その一方にいるのは暗号通貨の支持者だ。彼らの動機は2つの点に要約できる。利益を求める願望と、テクノロジーは人間性のためになるという信念だ。バブルは価格発見における自然現象で、暗号通貨が利用される機会が増えるに伴って起こる長期間で見たときの不可避的な価値の上昇傾向だ、と彼らは考えている。

彼らはまたバブルによって短期的に損をするトレーダーがいる一方で、金融面での人間の自由を劇的に増やすことになる技術発展にとって必要悪だ、と理解している。これらの動機は時には対立することもあるが、一般にはコミュニティの中で共存している。

豊かになることは世界をより良い場所にする。魅力的な宣伝文句だ。

もう一方の立場にいるのは懐疑論者だ。暗号通貨への疑問は、彼らが主張する内容と同じように多様な、呉越同舟の解説者の仲間を作り出している。ノーベル賞を受賞した経済学者、億万長者の銀行家、金本位制推進論者や中央銀行は、暗号通貨業界は不可避的に崩壊するという彼らの予想を伝えるのに一役買っている。

そしてコインの価値が上がると脚光を浴びることで懐疑的な人間がさらに増えている。ツイッターの時代では、自分の意見を持ちそれを世界に広めることはほとんど必須のことになっている。反対者にとってチューリップのミームは頻繁に登場する。

信奉者と同じように懐疑論者にとって、個人的な経済上の動機がある。懐疑論者は暗号通貨の急騰による利益を得なかったのかもしれないが、このゲームは最初から不正操作されている、と考えている。苦労して手に入れたお金を暗号通貨市場に投入しないことで彼らは「不可避的に」価値がゼロになることから逃れようとしている。

しかしこの自己防衛の流れの下に暗号通貨支持者の対極にある倫理上の駆け引きがある。中傷する人の多くは、暗号通貨の技術はばかげているだけでなく実際に社会に害を与えている、と考えている。この見解に導いたものは何か? チューリップバブルの歴史的事実が、この意見に導いた動機の興味深い見方を与えてくれる。

昔の熱狂

チューリップマニアというのは、金融市場での空騒ぎを求める人間性の傾向について話したいときに人気のある物語だ。このキャッチーな名称は、1636年11月から1637年2月までの4ヶ月間、オランダのチューリップの球根の価値が急騰し、その後崩壊したことを表すものだ。この現象はオランダ経済に壊滅的な影響を与え、多くの人々が経済的破綻に追い込まれた。

少なくともこの物語はそのように言われている。

しかし、キングス・カレッジ・ロンドンの近現代史の教授で『Tulipmania: Money, Honor, and Knowledge in the Dutch Golden Age』の著者でもあるAnne Goldgar氏によると、この良く知られた物語はほとんど誇張されたものだ。

彼女の著書には次のように描写されている。

「チューリップの球根の持ち主が一晩で何百回も替わり、その中には数千ギルダーで売買された球根が実際には存在しなかったことについて聞かされてきました。

チューリップマニアは大衆が騙されやすいこと、そして金融的な投機の危険性の一例だと見なされています。しかし実際にはそのようなものではありませんでした … そのような話はどれも真実ではないのです」

Goldgar氏は広範囲にわたる調査を行い、チューリップの価格に値上がりと暴落はあったが、私たちが信じているその期間の多くには少数の書き手による歴史的な誇張がある。

なぜ誇張されたのか? Goldgar氏によると、この誇張はオランダ黄金時代の莫大な富が引き起こした社会的な不安の産物だった。Lorraine Boissoneault氏が最近Smithsonian Magazine誌に寄稿しているように、

「チューリップの球根を食べたかどで投獄された無実の船員の話しや、一儲けするつもりで市場に押し入った煙突掃除人の話のような経済的破綻の異様な物語は、チューリップが引き起こした消費者主義の急成長が社会的崩壊につながることを心配したオランダのカルヴァン主義者が発行した、プロパガンダパンフレットに由来するものだった」

イギリスの歴史家Simon Schama氏もまた当時のことを次のように書いている。

「彼ら(オランダ人)は巨大な成功を収めたことで自信過剰になったが、同時に不安な気持ちにもなった。彼らのもっとも制約のない自画自賛の記録は夥しい数の脅迫に付きまとわれている … 根拠のない高揚感と共に重い警告の言葉だ」

この歴史的研究のレンズを通してみると、チューリップバブルの伝説は金融的熱狂の面では薄らぎ、経済的な記憶が社会の集団思考を反映する点が強調されている。オランダ黄金時代は、「オランダの貿易、化学、軍隊、芸術が世界でもっとも評価された」17世紀を象徴している。

歴史家のK.W. Swart氏はこの転換を「オランダの奇跡」と命名している。しかし、いま回想してみるとその時代はオランダ人が今日享受している現代の反映につながる巨大な踏み石だった一方で、当時はその進歩は明白ではなかった。

多くのオランダ人は、一晩で財産を築ける社会に適応するのが困難だった。Schama氏は当時のオランダ人の考え方を、ド・トクヴィルが19世紀のアメリカに見つけたものと次のように比較している。「民主国家の住民を頻繁に悩ませるあの奇妙な哀愁と、平穏でのんびりした時代の中で時々彼らがとらわれる人生への嫌悪感」

オランダのチューリップの価格が上昇したのは疑いないことだが、社会の異常な進展の負の側面を見つける機会も同じように増えた。今日、暗号通貨の懐疑論者にも同じ考え方が見られる。

現代の不安

暗号通貨は歴史上、落ち着かない時期に入った。テクノロジーが人間の進歩を損ねるかどうかについて幅広く議論されている。多くの人は、スマートフォンによって子供が憂鬱になりロボットが私たちの仕事を奪っている、と主張している。

その考え方は、人生をより良いものにすると思われてきたテクノロジーが、私たちを愚かで、反社会的で、不健康にしている、というものだ。さらに、インターネットがもたらした言論の自由は、民主主義に害となる可能性があると言われることで疑問を持たれている。

批評家はこのネガティブな雰囲気の中に、暗号通貨での「チューリップの瞬間」を見出している。これは、デジタル時代に根本的に形作られた増大する社会への不安に対する避雷針として理解されている。暗号通貨に反対する者は、暗号通貨が便利だということを正当化する可能性があるものを一貫して無視し、暗号通貨のもっとも嫌な特徴に集中している。

ハッハッハ、ビットコイン列車に乗り遅れたすべての敗者にはすまないな。私のように数年前に買っていれば良かったんだ。私は仮想通貨を偶然買いだめして性目的の人身売買と臓器購入のときだけ使う完全に普通の男だ。

多くの人は過去の分析を過去の価格動向の観察に追いつかない。ウォーレン・バフェット氏のパートナーであるCharlie Munger氏は、暗号通貨の状況を「完全な狂気」と表現し、先日ミシガン大学Ross School of Businessの聴衆に次のように語った。

「暗号通貨について考えるのは完全に愚かなことだと思う。悪意のある人たち、まともではないバブル、悪いアイデア、深く考えたり仕事をしたりしなくても楽に稼げるというコンセプトで人々を騙している」

他の人たちは、抑制の効かない言論の自由に疑問を持つ一般大衆の感情に同調して、政府による監視の欠如を心配している。 2013年に作家のCharlie Stross氏は『Why I Want Bitcoin to Die in a Fire』の中で次のように書いている。

「ビットコインは、リバタリアンの政治課題を念頭に置いて、中央銀行と通貨発行銀行に損害を与える武器として設計されたようだ。つまり税金を徴収し市民の金融取引を監視する能力に損害を与えることだ…後期資本主義は最悪かもしれないが、それをビットコインに置き換えることは、フルニエ壊疽の代わりにささくれになるようなものだ」

経済学者のポール・クルーグマン氏は自身の論説『Bitcoin Is Evil』を引用して、「ストロス氏はその議題が気に入っていないが、私も好きではない」と付け加えている。クルーグマン氏はこの話題についていつでも会話することを認める一方で、仲間の経済学者ジョセフ・スティグリッツ氏は暗号通貨をそれほど認めていない。

最近、スティグリッツ氏はブルームバーグにこう語った。

「ビットコインは法の抜け道となる可能性があることと監視が欠如していることから成功しているだけだ…だから、私には当然違法だと思われる…暗号通貨は社会に役立つことをしていない」

進歩のパラドックス

これらの議論は根拠がないものだろうか? まったくそんなことはない。暗号通貨は実際に多くの道徳的に許されないことを可能にする。しかし、暗号通貨の支持者たちは、バブルが価格上昇のための必要悪であると信じていると同時に、検閲に抵抗する価値転送システムを持つ能力のために、いくつかの違法行為がトレードオフになるとも信じている。彼らは個人的な自由のための勝利が他のすべてに勝ると信じている。

この考え方は広がっているかのようだ。ビットコインの1日の取引件数は、2011年1月の約6,000件から2018年1月1日には240,000件に増加した。現在は1000以上の暗号化通貨でそれぞれ独自のコミュニティが成長し、この金融的自立の欲求が広がっているようだ。

批評家にとってこれらの統計は重要ではない。批評家は引き続き、認識された欠陥に焦点を当てるだろう。チューリップバブルの神話が示すように、これは人間の心理に根ざしている。一部の人々は暗号通貨の進歩を無視するつもりだ。

ド・トクヴィルは次のように述べている。

「アメリカでは、もっとも自由でもっとも見識のある者が世界で最も幸せな状況に置かれていた。それはまるで雲が眉間にぶら下がっているようなもので、彼らは喜びの中にありつつも、深刻でほとんど悲しい状況にあると思っていた」。

過去数世紀にわたり、テクノロジーは私たちの生活をから不快感と凶暴さと不足感を減らしてくれた。しかし、それが本当に価値があるのか、という当然の疑問を持っている者もいる。

暗号通貨は、発展途上の社会におけるテクノロジーの倫理観に対するより大きな議論の中心に位置している。もし暗号通貨の支持者の思い通りになるなら、暗号通貨は人間が経済的に自由になるという新しい時代に導く力を持つ。もし批評家の思い通りになるなら、暗号通貨はダメになる。

カルヴァン主義者が作ったパンフレットのようにどちらかの見方が忘れ去られることを祈ろう。

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