中央銀行のデジタル通貨は今年動き始めるだろう:R3研究部長
中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)が今年動き始めるだろうと、R3のキャッシュとCBDC戦略の研究部長であるアントニー・ルイス(Antony Lewis)は、韓国のウォーカーヒルホテルで今週行われたデコノミー(Deconomy)会議の中でパネリストたちに語った。
「分散台帳による産業の革新」について語ったすべてのパネリストは、CBDCが選ばれた金融機関で使用開始になることに期待を寄せている。
ルイスは選ばれた金融機関でブロックチェーン技術が使用されることを信じている。
中央銀行の声
「私たちはある支払いの問題を修正する必要がある中央銀行と話し合い重ね、彼らが関心を寄せている1つの解決法はブロックチェーンタイプのプラットフォームである。」
とYou Tubeでコリア・コイン(Korea Coin)によって投稿された放送でルイスは語った。
このことは消費者がビットコインやイーサリアムのような機能のある新しい支払いの選択肢を得るという意味ではない、とルイスは言う。
そうではなく、わずかに選ばれた金融機関だけがこのような仮想通貨を使い始めるだろうとルイスは予測した。
このようなシステムは障害からの回復のような状況で使用されるだろうと彼は述べた。
「補助的な(分散的な)システムを主要な(中央集権的な)システムのように考えるべきはない。」
とルイスは言った。
さもなければ、もし主要なシステムが攻撃によりダウンしたとき、その攻撃者は同じトリックを仕掛けるだけでよい。
「そうなるとこれは回復ではなく、ただもう一つのIPアドレスを攻撃するだけである。」
と彼は語った。
商業銀行業務への適用
パネリストの一人、IBMでグローバルなCBDCをリードし、シンガポール中央銀行の前CBDC研究員であったスタンレー・ヤング(Stanley Yong)はブロックチェーンシステムが最終的に商業銀行業務にベストな選択肢として採用されるという点には賛成したが、消費者への適用についてはためらった。
「もし仮想通貨を何百万、何十億の市民に発行したら、これらすべての個人のアカウントを保有しなければならなくなり、それは本質的に市場と信用のリスクを高める。」
とヤングは語った。
中央銀行は特別な役割を担っている
パネリストの一人、金融暗号研究家であるイアン・グリッグ(Ian Grigg)は、CBDC小口の発行は中央銀行の根本的な役割から外れていると語った。
イギリス銀行を例に挙げると、根本的な役割とは民間金融機関の預り金をサポートすることである、とグリッグは述べた。
それゆえ、直接的な一般市民への仮想通貨の発行は、民間金融機関の預金の土台の存続を弱らせ、次いで貸付市場にも影響を与えるだろう、と彼は言う。
国際決済銀行(The Bank of International Settlements)は以前、CBDCは「民間金融機関の預金調達のより高い不安定性」を上昇させると述べていた。
パネリストたちはブロックチェーンが既存の銀行取引技術に取って代わるだろうと期待を高めていた。ヤングはそのようなシステムは「引退の時期」とまで語った。
Central Bank Digital Currency Could Go Live This Year: R3 Research Director