メトカーフの法則を当てはめると、ビットコインの価格はさらに下がる。
チューリッヒを拠点とする研究者のグループはバブル崩壊報告書を作成し、その中でビットコインの市場価値は現在1240億ドルだが、2018年末までには37%下落し770億ドル程度になる、と予測している。この予測はメトカーフの法則として知られる理論に基づくものだ。
この調査結果は、世界中の主要なビットコイン市場から規制上の抵抗を受ける中で、年初からの圧力を受けてきたビットコイン価格の推移を示しているようにも見える。しかし、同様にビットコインの混乱はより広い範囲で規制が明確になると解決できるものかもしれない。結局、市場は不安定さを好まないのだ。
ところでメトカーフの法則とはどのようなものだろう、と思われるかもしれない。この法則はイーサーネットの創始者ボブ・メトカーフが1980年代に提唱した理論で「ネットワークの価値はノード数の2乗に比例する」というものだ。「ネットワーク効果」としても知られる。
チューリッヒ工科大学の結論
この報告書をまとめた研究者のリーダーは、チューリッヒ工科大学の教授で起業リスクを専門とするSpencer Wheatley氏だ。研究者らはビットコインユーザーの数はビットコインの価値の上昇を支えるものとはならない、と結論づけた。
「私たちが行ったメトカーフ分析が示唆するところでは、ビットコイン市場の現在の適正価値は220~440億ドルの範囲にあり、現在の市場価値の4分の1となります」
研究者らはこのように述べている。
彼らの主張が正しいとすれば、ビットコインの市場価値は2017年のような上昇を続けることはないだろう。
さらに悪いことに、研究者らはBTCの価格とアルトコインの価格の「密接な相関」を考慮すると、「アルトコインの短期的な値動きは、それ自身が持っている相対的な評価額に関係なく、ビットコインの値動きと連動(そしてその逆にビットコインの値動きがアルトコインの値動きに連動)する可能性がある」
希望はないのか?
3月に発表されたこの報告書は、ビットコインは「何か月もの間、不安定な値動き」に直面する可能性があり、同時に「ビットコインの価格をかなりではあるが前代未聞というほどではない程度に過大評価する」、としている。
前代未聞というほどではない理由は、研究者らは4つのこのような「時価総額のバブル」を挙げていずれも最終的にはバブルがはじけたことを示している。そのうちの3つのバブルがはじけた理由は、破滅的なセキュリティ侵害の余波で閉鎖された日本の取引所Mt. Goxのように基本的な問題が発生したことによる。しかし研究者が指摘するように、もっとも最近はじけたバブルはビットコイン価格が2万ドルに近づいた後で「自己重力で崩壊」したことだ。
出典: https://arxiv.org/pdf/1803.05663.pdf
Mt. Goxの例に加えて、この報告書はビットコインバブルの崩壊につながるいくつかの重要な出来事を挙げている。そこで挙げられているのは次のようなものだ。
- ビットコインが煽るSavings & Trust Ponzi scheme(貯蓄と信託のポンジスキーム)
- 金融機関がビットコインで取引するのを中国の中央銀行が禁止する
- 韓国が2017年度末にビットコイン取引を禁止する報告
今回の研究は対数周期べき乗則特異点モデル(Log-Periodic Power Law Singularity:LPPLS)にも基づいている。このモデルは「市場の不安定性を警告し」市場の崩壊を予測するために考案されたものだ。
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