ビットコインは使えないかもしれないが、仮想通貨を支えるテクノロジーそのものを無視しているわけではない。スターバックスの会長であるHoward Schultzは、ブロックチェーンがコーヒー小売業の将来にとって欠かせない要素になるかもしれないと発言し、「デジタル通貨が私たちのアプリに組み込まれる」可能性を指摘した。Fox Businessの取材に次のように答えている。
ブロックチェーン技術はおそらく、スターバックスのアプリの行き着く先にあると思います
興味深いことに、Schultzは前回の業績報告の際には、独自の仮想通貨を開発したり、ブロックチェーンのベンチャー企業に投資したりするつもりはないと表明していた。しかしそのとき同時に、仮想通貨のための「顧客向けのアプリ」の運用の将来的な可能性にも言及していた。
スターバックスはシアトルで「キャッシュレス店舗」の1号店を開いており、モバイル決済技術を取り入れている。「過去4~5年間でスターバックスはモバイルを使った電子決済技術を開発してきました」とSchultzはFox Businessに話し、今は売上の50%がスマートフォンを使って決済されていると指摘した。モバイル決済の先進国である中国の店では、実に4分の3がキャッシュレスの決済である。
ブロックチェーンはYES、ビットコインはNO
しかし、Schultzはビットコインには関心がないという。取引に時間がかかり高額なコストがかかるからだ。
ブロックチェーン技術の導入は、仮想通貨決済の実現に向けた布石とも捉えられるが、この技術は他の用途にも用いられる。例えば、コーヒーやココアなどの製品が生産元から届けられる過程を追跡することで、スターバックスがこだわる倫理的な原材料調達に役立てることも出来る。Schultzはこの点を強調して、公開台帳の技術が記録と共有に向いていると指摘した。
株価には動きなし
企業がブロックチェーン技術を何らかの形で取り入れることを表明すると株価が急騰するという経験則(blockchain bounce)があるが、2月27日のSchultzのコメントの後も、スターバックスの株価に特に動きはなかった。
Schultzは企業の長期的な見通しを示したのであって、四半期ごとの成績に左右されるようなものではない。実店舗での商売をやっていくためには、単に商圏の中だけでなく、広くブランドの価値を高めていくことが本当の課題であり、そのことに注力していくという。