石油の需要が増加する中で、紙に依存したこの伝統的な業界も変革を迫られている。石油輸送の大手数社がブロックチェーン技術活用の旗振り役を務めている。
最大全長500ヤード(450メートル)ほどの巨大なタンカーで、何百万バレルの原油を運ぶ石油輸送業界。従来は、従来は「船荷証券」という紙の書類で全ての取引を行っていた。しかし、これがブロックチェーンを応用したやり方に変わるかもしれない。
船荷証券からブロックチェーンへ
1隻のタンカーには数百万ドル分の下乳が積み込まれ、その取引が毎日船荷証券に記録されている。世界の石油の需要のほぼ半分がタンカーによって輸送され、その金額は1日27億ドルに及ぶ。
記録的な原油消費量を受け、タンカーの需要も増加しており、そこにブロックチェーンが入り込もうとしている。しかし、ブロックチェーンを機能させるためには、原油輸送に関わる全ての関係企業が一度に導入しなくてはならない。
石油大手も参入
船荷証券を使うやり方には多くの欠陥があるが、その中でも最も懸念されているのは詐欺への悪用である。既に在庫データの管理にデジタル技術を使っている商社が、ブロックチェーン導入の議論を主導しているというのは無理からぬ事だ。
実際、石油業界では計画の具体化に向けた動きが進んでいる。ブルームバーグの報道によれば、業界大手は石油輸送にブロックチェーン技術を使う検討グループを結成した。その中には、BP、ロイヤル・ダッチ・シェル、スタトイルなどの石油会社や、複数の商社グループ、ABNアムロやソシエテ・ジェネラルなどの銀行が含まれている。
ブルームバーグの記事に引用されたマーキュリア・エナジー・グループの国際運営部長Alistair Crossの発言によれば、このような議論が始まっているということ自体、数世紀にわたって紙ベースのシステムを変えようとしなかった業界の大きな転換点となっている。
分散台帳技術を導入すれば、暗号化による安全性や正確性の工場、コスト低減や時間の節約など、さまざまなメリットが期待できる。例えば、従来の方法では数時間かかっていた取引の承認の手続きが、試行版では数分間に短縮することができた。
しかし、欠点もあるだろう。これまでデータの処理に関わっていた人は、ブロックチェーン技術が導入されれば職を失ってしまう。
The Oil Industry Drills into the Blockchain