米国の商品先物取引委員会(CFTC)が、仮想通貨の価格操作を目的とした詐欺に騙されることのないよう投資家に警告した。
木曜日に米国市場の主任監督官が出した消費者保護の勧告は、仮想通貨、とりわけ市場規模が小さく流動的なものに投資する場合、事前に万全にリサーチを行うことを投資家に奨励している。
「ソーシャルメディアの情報や目先の値動きをもとにして、仮想通貨やデジタルコイン、トークンを購入するべきではありません。事実とデマを見分けるために、仮想通貨やデジタルコイン、トークン、関連する企業について徹底的に調べて下さい」
とCFTCは指摘した。
同勧告は、トレーダーのグループがいかにして「パンプ・アンド・ダンプ(pump-and-dump)」を行っているかを明らかにしている。ソーシャルメディアを通じて不正確で誤解を招くニュースを拡散するなど、詐欺的な手法によって、仮想通貨の価格を操作するのである。
CFTCによれば、このような詐欺は古くからあるが、新しいテクノロジーも悪用しているという。
「多くのネット上の詐欺と同じく、目新しいものではありません。新たなテクノロジーを使って、デジタル資産への人々の関心を食いものにするのです」とCFTCの広報担当、エリカ・エリオット・リチャードソン(Erica Elliott Richardson)は話す。「パンプ・アンド・ダンプ詐欺は仮想通貨ができるはるか昔からあるものです。典型的には電話で価値のない株を売りつける詐欺が思い浮かびますが、こうした詐欺が進化してネット上にも広がっていることを消費者は知るべきです」
実のところ、そのようなパンプ・アンド・ダンプ詐欺が広がっていて、しかも多くの投資家はそれに気づいていないことが、Facebookが仮想通貨に関する広告を禁止した一つの理由である。
同勧告はさらに、現在の米国法では、CFTCが市場を直接監視することはできないということにも言及した。ただし、仮想通貨だけにとどまらない投資詐欺や市場操作があった場合は捜査を行うことができる。
CFTCのJ・クリストファー・ジャンカルロ(J. Christopher Giancarlo)委員長は、取引におけるこうしたリスクの明記を義務付けるような法規制を提案した。
一方で、共和党のCFTC委員であるブライアン・クインテンツ(Brian Quintenz)は、仮想通貨市場の現状について連邦レベルでより正式に監視を行うとともに、業界が自己規制の基準を設けるのがよいと主張した。