プライバシーを重視している暗号通貨MoneroはASICメーカーに宣戦布告した。
Moneroの開発者グループは、現在はGPUハードウェアで利益が出るほど採掘されている各種altcoinの間で繰り返される質問に対処する開発アップデートを日曜日に公開した。その質問とは、Bitcoinあるいはもう一つの採掘リグメーカーが、XMRのProof of Work(PoW)ハッシュアルゴリズムであるCryptonightを採掘するためのASIC採掘マシンを開発する脅威にどう対応するのか、というものだ。
Moneroの反応は? 先制攻撃だった。
開発者らは前に進みながら、MoneroネットワークがASICで実装できないことを、通常年2回実施されるあらかじめ予定されたハード・フォーク時にMoneroのPoWアルゴリズムを少し修正することで維持しようとしている。この変更は普通のXMRユーザーには気付かれるものではないが、Moneroネットワークのハッシュアルゴリズムを変更するには十分で、CryptonightのASIC採掘マシンはそのたびに使い物にならなくなる。
しかしこういった予定されたPoWの調整ではCryptonight向けASIC採掘マシンの開発を諦めさせるには不十分だった場合に備えて、Moneroは「ASICからのいかなる潜在的脅威も阻止するため緊急ハード・フォークを実施する」つもりだ。
ASICへの移行は平等主義的だ
開発者が言うところの先回りした行動は、Moneroの採掘が比較的平等主義的なままであり、その結果、少なくともASIC採掘産業でも同じことが言えるようになるまでは、分散化されたままであることを保証する。
「ASICはいかなるProof of Workにとっても避けられない進展かもしれません。しかし分散化を育てていくため、ASICが優勢なネットワークに移行するには可能な限り平等主義的である必要がある、と思います。今の時点では、新たに開発されるCryptonightのASICは平等主義的なものではなく、分散化ネットワークを育てるようなものでもない、と思っています」
と投稿に書かれている。この投稿はdEBRYUNE、dnaleor、そしてMonero プロジェクトによるものだ。
投稿の執筆者はASIC市場は現在、少数のメーカー、その中でも主に中国の巨大企業Bitmainが大半を占めているため、政府がこれらのメーカーに採掘マシンに「緊急停止スイッチ」を組み込むか、政府の特別なライセンスを取得した顧客だけに売るよう強制するのは比較的簡単なことだ。
一方でGPUを使用した採掘者は一般用途向けのコンピューターチップに頼っており、政府発行のライセンスを取得することを採掘者に強いる規制当局の試みを不可能にしている。
PoWの最初の調整は、今のところ3月に予定されている次回のネットワークのハード・フォーク実施時に実装されることになっている。