保険プロバイダーが暗号通貨取引所にやって来る

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2017年はハッキングに関して記録に残る最悪の年だった。数百万ドルの価値があるMoneroを生成すると謳うマイナーウェアが勝手にインストールされたり、コインチェック社への不正侵入で5億ドル近くが失われたり、ICOフィッシング詐欺など、たくさんの報告があった。

2014年のMt.Gox流出事件以来、このサイクルが繰り返されている。ニュースを追いかけている人は誰でも知っていることだが、このトレンドは暗号通貨の世界に限った話ではない。あるジャーナリストは「2017年はハッキングの年だった」と宣言した上で、2018年はもっと悪くなると予想した。


2017年5月以降の暗号通貨保険の実績と予測

このトレンドはサイバー保険が登場するきっかけとなった。2017年にサイバー保険は合衆国内でもっとも成長が早い保険分野となり、既に10億ドル市場だった中で年2桁パーセントという空前の伸びを見せた。この成長は、保険金額が比較的大きいことと相まって、暗号通貨保険のゴールドラッシュを引き起こした。

暗号通貨に関連するほとんどに言えることだが、暗号通貨を扱う保険会社がブロックチェーンを追加する可能性は無数の憶測を呼んだ。以前報告したように三井住友銀行は日本国内で小規模の暗号通貨保険商品を展開している。もっと大規模なものとしては、Coinbase社がロンドンのロイズ保険と組んで、「コールドストレージ」に保管されていないコインの2%をカバーする大規模な保険契約についても議論してきた。こういった保険契約は急成長する氷山の一角に過ぎないものだ。

暗号通貨保険の拡大

保険会社大手のAIGを含む保険会社で保険にブロックチェーンを活用する取り組みが始まりつつある中で、旧態依然とした暗号通貨保険市場に驚かされる。私は1、2回のICOでこの市場は動揺することになる、と自信を持って言える。

その一方で暗号通貨保険市場はサイバー保険市場のほぼ完全なコピーのように思える。2016年にAIGとChubb、そしてXL Groupの3社がサイバー保険市場を引っ張っている、と報告された。現在AIGは、より大きな展開の可能性がある「調査段階」の一環として、いくつかの保険契約を引き受けている、と既に発言している。XL CaitlinとChubbの両社も暗号通貨保険の販売を開始済みだ。

サイバー保険とよく似ていることだが、暗号通貨保険市場が成熟するには時間が掛かる。より大切なことは、保険会社はこの先数年間を見越して保険モデル改良するためにはデータが必要だということだ。それは確実に時間が掛かるプロセスとなり、サイバー保険と同じくリスク評価から始まる。

企業は、広範にわたるインフラのレビューやサード・パーティあるいは(場合によっては)フォース・パーティー・ベンダーのセキュリティ監査を含むデュー・ディリジェンス(投資先の資産価値やリスクを評価すること)を数ヶ月にわたり実施し、データ管理に関する規制を遵守していることを保証するために高い費用が掛かる段階を踏んで行かなければならない。

障害は残る

このような保険契約が現在販売されているにも関わらず疑問が残る。その一つは、昔ながらのサイバー保険は不換通貨の安定性に頼っているということだ。不正侵入で1億ドルが盗まれたとすると(事前に金額が分かる何らかの裁判費用や調査費用、…などは除外する)、保険会社が支払う保険金額の上限は1億ドルだ。

しかし、もしBitcoinが2016年1月に保険を掛けていたら、保険会社は数千パーセントの価格上昇に対応しなければならなかっただろう。このような状況に対処するため、多くの保険会社では価格変動に無関係の価値(例えば、金の場合だが)に基づいて保険契約を結んでいる。保険契約を常に見直すことは保険料の劇的な変動という、保険会社と顧客のどちらにとっても容認できない状況を引き起こしかねない。

サイバー保険と暗号通貨保険の双方に関わる別の問題として、フィッシング詐欺がある。もし企業の存在を脅かす攻撃の結果、暗号通貨が不正なウォレットに送金されたとしたら、それでも保険会社に支払い義務が発生するのだろうか?顧客はサーバが正しいことを検証するためサーバのSSL証明書をチェックする必要はないのだろうか?こういった疑問はすべてサイバー保険の世界では回答が出つつあるが、暗号通貨保険市場でもそれとは別に回答を出さなければならないだろう。特に暗号通貨の投資家を狙った最近のフィッシング詐欺での天文学的な被害額を考えれば尚更だ。

リスクがあるにも関わらず、保険会社はこの分野に足を踏み入れようとしているようだ。暗号通貨保険は暗号通貨保険市場で次第に大きな割合を占めるようになっている。その成長はこれまで、そしてこれからも、頻繁に起こるハッキングで増幅し続けるだろう。この産業分野が最後にはどうなるのか見ものだ。

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