イーサリアムの上席開発者らは、重大なハッキングやインシデントで失われた資金を回復する必要が生じた場合、ソフトウェアレベルでどのような措置を取るべきかについて話し合う公開討論会を開催することを呼びかけた。
金曜日に開かれた隔週ミーティングでは、論争の的となっているイーサリアム改善提案EIP 867について開発者らの意見が分かれた。この提案は、資金が失われた際の被害者に資金を戻す方法を提唱するものだ。CoinDeskが特集記事を書いたように、この提案は内容が解決策としてシステム全体に関わるソフトウェアアップグレードを主張するものであることから、非難の矢面に立たされている。
このミーティングが、イーサリアムの多数意見になろうとする双方の情熱を示すものだったとしても無理はない。
それでもどちらの意見にも組しない開発者らは、もっと開かれた議論の場を設けるなど、より中立的な解決策を模索していた。
イーサリアムの開発者ヴラッド・ザンフィル氏はミーティングの出席者に対し次のように語った。
「コミュニティとイーサリアム基盤の関係に影響を与える提案、特に重要な先例となるような提案を、公開討論の議題とする必要があると考えます。私はEIPの提案が資金回復の問題をどのように扱うつもりで設計されたのか、よく分からないのです」
それに応える形でコミュニティマネージャのHudson Jameson氏が同意し、討論はソーシャルメディア上で行うべきだとの持論を展開した。同じように、独立開発者のAlexey Akhunov氏は開発者同士のライブビデオ討論会を提案した。
だが、こういったアイディアに対して保守的な態度を取る者もいた。
開発者のPiper Merriam氏はライブ討論会は「策略に長けた者が有利」になりがちだ、と警告し、議論の内容は記録しておくべきだと述べた。「さもなければ人気者コンテストになってしまいます」と彼は語った。
さまざまなコメントは、それ自体が議論すべきもう一つの対象であることをほのめかしている。それは、公開討論の場で提案されたことを妨害するに際して開発者らはどのような役割を果たすべきかという課題に取り組む、というものだ。
例えばEIP 867はあまり知られていない開発者のDan Phifer氏が主導したものだ。彼は昨年Parity資金が凍結された際に大量のイーサを失ったMusiconomi社からイーサリアムプロジェクトに参加している。
EIP編集長の平井洋一氏は当初、彼が「イーサリアムの哲学」と表現するものに適合しないことから、この提案を拒否した。しかし今では自分の役割に対してよりリベラルな態度で臨んでおり、「EIPリポジトリはツイッターのようなもの」だと述べている。
「誰でも好きなことを何でも言ってくれれば、私がすべてまとめ上げますから」と彼は語った。
今のところ、EIP-1で詳しく述べられているコード変更の受け入れのためのイーサリアムのプロセスが明確になるまでは、この提案に対してさらなるアクションが取られる様子はない。
しかし、Jameson氏が本日述べたところでは、現在行われている論争がこれまでそのような取り組みを加速してきた、とのことだ。