仮想通貨の税金は計算が難しい。困ったときはどうすればよいの?

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比較的気楽に始められ、かつ値動きが大きいことなどから利用者が急増している仮想通貨への投資ですが、そこで生じた利益には税金がかかります。今回は、ちょっと複雑でわかりにくいこともある、仮想通貨に関する税金処理を詳しく解説します。

仮想通貨の税金の基本

2017年度から仮想通貨取引所に金融庁への登録が義務化されるなど、仮想通貨の法的な扱いも整理されてきています。

仮想通貨から得る利益にも、税制上の処理方法が決まっているので、まずそれらを確認してみましょう。

20万を超えて稼いだら確定申告が必要

仮に、会社勤めの人が仮想通貨取引から利益を得た場合は、基本的には、会社が行ってくれる税金の申告だけでなく、自分で確定申告をして納税する必要があります。

ただし、その年に仮想通貨から得た利益が20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。

No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|所得税|国税庁

雑所得で総合課税適用

税制上、FXや商品先物などの金融商品からの利益は、先物取引に係る雑所得等として区分され、他の所得と分離して税率が設定された申告分離課税が適用されます。

しかし、現在のところ仮想通貨はそういった金融商品としては認められず、そこから得た利益は全て『雑所得』として給与を含めた他の所得と合計し、総合課税制度が適用されます。

No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合|所得税|国税庁

損益通算できない

上記のとおり、その利益が雑所得として扱われる仮想通貨取引は、仮に損失が生じたとしても、他の雑所得と通算して課税対象額を控除することはできません。

つまり、損失額には税金はかからないものの、他の雑所得にかかる税金は100%納めなければならないわけです。

No.2250 損益通算|所得税|国税庁

海外の取引所も課税対象

日本の税制では国内に住所がある、もしくはその時点まで1年以上継続的に居住している人を『居住者』と呼び、その人が得た利益は国内外を問わず課税されることになっています。

つまり、海外の仮想通貨取引所を利用して得た利益も確定申告をして、それにかかる税金を納めなければなりません。なお、この場合も所得の区分は雑所得となります。

No.2010 納税義務者となる個人|所得税|国税庁

仮想通貨の税金の計算方法

仮想通貨の取引から得る利益は、給与所得や事業所得など他の所得(全10種類)と合計し、課税対象となる金額を計算します。

所得税の計算式

所得とは、収入額から各種の控除(基礎控除、給与所得控除など)、および必要経費(収入を得るために直接必要だった支出)などを差し引いた金額です。

仮想通貨取引にかかる必要経費としては、PCの電気料金やインターネット通信費などが考えられますが、細かな判断は税務署に確認する必要があります。

仮想通貨からの利益は損益通算などはないため、その所得額(課税対象額)を計算式で示すと以下のようになります。

  • 所得額 = 総収入額(仮想通貨からの利益)- 必要経費

仮想通貨から得る利益は、雑所得に区分されますが、同じ区分に含まれる公的年金収入(年金には控除があります)とは別に計算します。

No.1500 雑所得|所得税|国税庁

所得税の税率一覧

雑所得に区分される仮想通貨からの利益には、所得額に応じ税率が7段階で変動する『累進税率』が適用されます。

また、所得税には税額からの控除があり、その金額も税率ごとに決められています。加えて、2037年までの所得には、下記の表をもとに算出される基準所得税額の2.1%が、復興特別所得税として納税額に上乗せされます。

所得額の範囲とそれぞれの税率、および控除額を以下の表に示します。

課税される所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 330万円以下 10% 9万7,500円
330万円超 695万円以下 20% 42万7,500円
695万円超え 900万円以下 23% 63万6,000円
900万円超 1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円超 4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円

No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

利益の求め方

仮想通貨は、投資対象として資産の性質を持つと同時に、通貨としても機能するため、その取引に関して生まれる利益の計算は、やや複雑なものとなっています。

仮想通貨に関する所得の計算方法等について

取引による利益

基本的には、その購入時における仮想通貨の単価(円)をベースに、再び円に換金した(あるいは、それに相当する取引を行った)際に受け取る金額との差額が、仮想通貨から得る利益(所得)ということになります。

仮想通貨(1銘柄のみ)の単価は、以下の計算により求まります。

  • 仮想通貨の単価 = 購入時に支払う金額の総額(手数料込み)÷ 購入した通貨の数

仮想通貨を売却した場合

仮想通貨による利益を考えるうえで注意しておきたいのは、『保持している仮想通貨が含み益を出していても課税されない』ということです。あくまでも、円に換金した際に利益が生じることになります。

保有している仮想通貨を売却した場合、その受取額(円)と購入額に相当する部分との差額を、上項の仮想通貨の(購入時の)単価を用いて計算し、それが所得額となります。

仮想通貨売却の所得額の計算式を以下に示します。

  • 売却の際の所得額 = 受取額 -(仮想通貨の単価 × 支払った仮想通貨数)

たとえば、50万円で4ビットコインを購入し、のちに0.5ビットコインを10万円(受取額)で売却した場合は、購入単価は12万5,000円(50万円÷4)となり、上記の計算式により計算すると以下のようになります。

  • 37,500万円(所得)= 10万円 −(12万5,000円 × 0.5)

この取引の場合、37,500円が所得額となります。

仮想通貨で商品を購入した場合

仮想通貨の場合、そのまま商品やサービスの購入決済に使用することも考えられますが、その場合も一度円に換金してから使用したと解釈され、購入時点における商品などの価格を用いて、売却の場合とほぼ同じように計算します。

仮想通貨で商品を購入した場合の所得額は、以下の計算式により算出します。

  • 商品購入の際の所得額 = 商品の価格 −(仮想通貨の単価 × 支払った仮想通貨数)

例として、単価12万5,000円で購入したビットコインから、のちに0.1コインを使い2万円の商品を購入した時の所得額を求めると、以下のようになります。

  • 7,500円 = 2万円 −(12万5,000円 × 0.1)

よって、7,500円が所得額となります。

他の仮想通貨にトレードした場合

保有する仮想通貨を他の仮想通貨とトレードする場合は、新たに入手する仮想通貨のその時点の円建て価格(時価総額)を用いて、商品購入の際の価格と同様に扱い、所得額を計算します。

  • トレードの際の所得額 = 入手する仮想通貨の時価総額(円)−(仮想通貨の単価 × 支払った通貨数)

例として、取得時の単価が12万5,000円のビットコインを、のちに2通貨使い単価5万円の別の仮想通貨6通貨、つまり総額30万円分とトレードした場合の所得額を求めると、以下のようになります。

5万円 =(5万円 × 6) −(12万5,000円 × 2)

よって、所得額は5万円となります。

取引以外の利益

仮想通貨には他の通貨や資産にない独特な特性があり、それぞれ所得と関係してくるので注意が必要です。

仮想通貨が分裂した場合

ビットコインの取引量は現在も増え続ける傾向にあり、ブロックチェーンによる承認にも長い時間を要するようになってきました。

その不便さを解決するためには、ビットコインの技術面を改良することが大きな解決策ではありますが、それを行うと従来のシステムとは連続できないため、新たな仮想通貨として出直すことになってしまいます。

このように、すでに存在する仮想通貨をもとに、何らかの理由で新たな通貨がスタートすることを、『仮想通貨の分裂(あるいは分岐、ハードフォーク)』といいます。

一般に、ひとつの仮想通貨が分裂する場合、利用者にはその時点で保有していた元の仮想通貨と同じ量の通貨が渡されることになります。

所得計算の立場でみると、この新たに入手した仮想通貨はまだ価格が付いていないと解釈され、購入時価格(つまり単価)は0円として評価します。

したがって、のちにこの新たな仮想通貨を円へと換金した場合は、受け取る全額が所得となります。

マインニングで報酬を得た場合

仮想通貨による各種取引を承認し、ブロックチェーンの末尾に書き加える行為を、『マイニング』と呼びます。

マイニングは仮想通貨ユーザーの中から有志により行われますが、コンピュータによる大量の計算が必要なため、それを完了(成功)させた人には仮想通貨で報酬が支払われます。

マイニングの報酬として新たに入手した仮想通貨も、所得として課税されるので注意が必要です。その際は以下の計算により所得額が算出されます。

  • マイニングからの所得額 = 取得した通貨の時価総額(円)- マイニングの必要経費

この仮想通貨報酬をのちに各種の取引に使う場合は、それを取得した時点での時価(円)を仮想通貨の単価とし、上記の各項目で紹介した同じ計算により、そのつど所得額を計算します。

無料で使える税金計算おすすめツール

先述のとおり、仮想通貨の取引に関して所得額を計算するには、通貨の購入と取引ごとに時価や売買数を記録し、それらを用いた細かな計算が必要となります。

これは取引所で頻繁に売り買いを行うような人にとっては、かなり煩わしい作業であり、正確に計算することは困難な場合があります。

そのようなときは、仮想通貨取引所からダウンロードした履歴を使い、1年の損益を自動計算するツールがリリースされているので、それらを利用すると非常に便利です。

tax@Cryptact

株式会社クリプタクトが提供する、仮想通貨損益計算サービス『tax@cryptact』は、国内のメジャーな取引所4社と、海外取引所9社のデータに対応している計算サービスです。

計算方式は国税庁の指針に準拠しており、決算期を自由に設定することで法人での使用にも対応しています。また、米国税制にしたがった計算も可能であり、そういった機能が無料で利用できるサービスとなっています。

Cryptact Ltd. | 仮想通貨を次のステージへ

スマホアプリ未対応のためPCが必要

tax@cryptactで損益計算を行うには、取引所から1年の取引履歴データをCSV形式で入手する必要があります。

現状では、このダウンロードはPCのみに対応しているため、tax@cryptactを利用する際にはPCが必要となります。

Keiry

現状(2018年2月)では開発が継続中のベータ版ですが、株式会社グランドリームが提供する『Keiry』は、取引所(3社)のデータだけでなく、ウォレットの入出金にも対応している仮想通貨の損益計算サービスです。

計算方法は、国税庁の指針にしたがっており、作成した損益はCSV形式でダウンロードすることも可能です。

Keiry(ケイリー) | 無料から使える仮想通貨会計ソフト

BitTax

『BitTax』は対応取引所をbitFlyer、coincheck、Zaifに絞り、仮想通貨取引所内の売買取引のみに対応するなどして、シンプルな機能を提供している損益計算サービスです。

計算方式は、仮想通貨の売買のたびに収支を計算していく、移動平均法が使用されており、細かな損益まで網羅しています。

BitTax|仮想通貨の税金計算サポートツール

有料でサービス充実の確定申告ソフト

税金の申告に使用する損益計算サービスは、税制など法的指針の解釈や変更への対応などを考慮すると、内容を担保している有料のサービスを利用するのもよいでしょう。

Coin Tool

株式会社飼育係の『Coin Tool』は、仮想通貨の税務に詳しい税理士からアドバイスを得ながら、現在、クラウドファンディングで資金調達をしつつ開発進行中のサービスです。

予定されている機能としては、仮想通貨の売買や交換、あるいは決済への利用など全般的な取引内容への対応や、メールによるサポートなどが含まれています。

仮想通貨の確定申告用 計算ツール【税理士監修&メールサポート】 – CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

Cryptolinc

『Cryptolinc』は、対応する仮想通貨取引所のCSVファイルに加えて、API(※)による連携にも対応した損益計算サービスです。

確定申告に使える『年間収支結果報告書』に加え、『通貨別取引レポート』や『計算処理内容報告書』なども自動で作成します。

対応する仮想通貨取引所はBitflyer、Coincheck、Zaifの3社ですが、順次拡大していく予定です。

※APIとは、ソフトウェア同士でデータのやり取りを自動で行う仕組みのことです

仮想通貨収支計算システム「クリプトリンク」

エクセルでの税金計算は無理なのか

仮想通貨取引所からダウンロード可能なデータはCSV形式ファイルなので、利用者自身がエクセルなどの表計算ソフトに取り込み、必要な数式を組み込むことで、年間の仮想通貨による損益計算を行うことは可能です。

取引が複雑だと効率が悪い

仮想通貨からの所得計算には取得時の通貨の単価や、購入した商品などの時価を網羅しなければならず、基本的に複雑な処理となります。

さらに、海外の取引所を使っている場合などは、為替レートなども関係するので、さらに多くの要素を計算しなければなりません。

したがって、自分の好みにあったグラフ表示を行い解析をしたい人など、エクセルに詳しい利用者以外は、いくつか提供されている無料計算サービスを利用するほうが合理的といえます。

自分で計算できない人は税理士に相談しよう

仮想通貨は値動きが大きく、取引から思わぬ収入を得る場合もあります。

その分は、しっかりと確定申告を行わなければなりませんが、たとえ意図していなくても収入(利益)額を少なく申告してしまうと、場合によっては過少申告加算税などのペナルティが課されます。

また、仮想通貨取引は損益の計算が複雑になり、ツールなどを利用したとしても、自分で算出した申告額には不安感が残ることもあります。そのような場合は、税理士に相談することも考慮するとよいでしょう。

GUARDIAN

仮想通貨はそれ自体がとても新しく、法的な整備もいまだに進行中です。したがって、税務のプロである税理士の中でも、処理方法を完全にマスターしている人は少ないといえます。

そんな中で、株式会社Aerial Partnersが運営している『GUARDIAN』は、仮想通貨に精通した全国の税理士を紹介してくれるサービスを提供しています。

各取引所が個別に提供する取引履歴(CSVファイル)から、その内容の検証や損益と税額の計算などを行い、確定申告書も作成してくれます。

利用料金は発生しますが計算内容が保証され、事後の税務調査への対応なども依頼できるので、プロに頼む大きなメリットです。

ただし、ユーザー数に上限があるため、受付期間を待って申し込む必要があります。

Guardian | 仮想通貨税務の心強いミカタ

まとめ

仮想通貨から得る利益は、雑所得として区分され累進税率が適用されます。また、仮想通貨は、投資対象としてだけでなく通貨の機能も持つため、1年を通じた損益(所得額)の計算は複雑なものとなります。

正確に損益を計算するには、それぞれの売買のタイミングで数量や価格をすべて記録しておく必要があります。

各メジャー取引所は、年間の取引履歴をCSVファイルでダウンロードが可能となっているので、そのデータを利用して年間の損益が計算できます。その際には無料で使えるwebサービスなども有用です。

計算結果に自信が持てない場合は有料のサービス、もしくは税理士に依頼することも考慮に入れましょう。